2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍への放射線照射後におこる認知機能低下の病態解明と早期予測診断法の開発
Project/Area Number |
21591602
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青山 英史 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80360915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺江 聡 北海道大学, 大学病院, 准教授 (40240634)
志賀 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80374495)
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Keywords | 放射線治療 / 脳腫瘍 / 認知機能 / 神経イメージング / 拡散テンソル画像 / 転移性脳腫瘍 / 全脳照射 / 定位放射線照射 |
Research Abstract |
脳腫瘍の放射線治療晩期障害である白質脳症は痴呆用症状を引き起こし患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる。しかしながらその早期診断は困難であり、また定量的客観指標に乏しいことが問題であった。本研究の目的は脳腫瘍放射線治療に適した日本語版認知機能バッテリー(NCB)を作成し、その妥当性の検討を行うこと、更に日本語版認知機能検査バッテリーで得られた検査値と定量的非侵襲的神経イメージングで得られた検査値との経時的比較を行うことで、白質脳症の早期診断法の確立を目指すことにある。当該年度は、平成21年度から開始された自主臨床試験「拡散強調テンソル画像による転移性脳腫瘍放射線照射後の放射線脳障害早期診断法の開発: Fractional Anisotropyと認知機能およびQOLとの関連性の検討」を継続して行い、その中間解析を行った。対象は2009年3月~2010年2月までに登録した転移性脳腫瘍患者24症例。照射法の内訳は、全脳照射が19症例で、定位照射単独治療が5症例である。全症例で我々が開発したNCBを用いた認知機能検査を行い、中間解析時点で4か月目のNCB検査データは12症例、8か月の時では6症例で取得可能であった。遅延再認スコアは治療前と比較して、全脳照射群では4か月目で有意に低下(p=0.031)していたが、8か月目では改善傾向が認められた。同様な低下は遂行機能検査であるTMT-B (p=0.008)でも示された。しかし8か月目のTMT-Bは4か月目と比較して有意な改善を認めた(p=0.005)。また記憶学習機能でも同様な傾向が示された。これらの変化はMini-Mental Score Examination (MMSE)では確認できず、我々の開発したNCBのMMSEに比較した優位性が示された。
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