2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591616
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10235153)
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Keywords | 放射線増感 / DNA2重鎖切断 / 相同組換え修復 |
Research Abstract |
放射線増感剤ギメラシルのギメラシル放射線増感効果の分子メカニズムの検討 【目的】ギメラシルは、抗癌剤TS-1の一成分であり、肝臓内や腫瘍内での5-FUの分解を阻害し、血中5-FU濃度を高値に保つ作用を持つが、また、ギメラシル自体が放射線増感効果を持つ。我々のこれまでの研究により、ギメラシルの放射線増感効果は、DNA二重鎖切断の相同組換え修復を部分的に阻害することによることが明らかになった。ギメラシルがジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPYD)阻害剤であることを着目して放射線増感効果の分子メカニズムの解析を行った。今年度は、放射線増感剤ギメラシルのギメラシル放射線増感効果の分子メカニズムの検討を行った。 【方法】HeLa(子宮頸癌細胞)を用いた。siRNAを用いてDPYB遺伝子をノックダウンし、放射線感受性の変化及びギメラシルの放射線増感効果に対する影響をclonogenic assayにて、検討した。また、ネガティブコントロール用siRNAも導入して、放射線感受性への影響をみた。 【結果】ウエスタンで、siRNAによるDPYDのノックダウンの程度を確認すると、10%未満に低下していた。DPYD遺伝子をノックダウンすると、ギメラシルと同程度に放射線感受性になった。また、DPYD遺伝子をノックダウンすると、ギメラシルの放射線増感効果が消失した。ネガティブコントロールsiRNAでは、放射線感受性の変化及びギメラシルの放射線増感効果に影響がみられなかった。 【考察】ギメラシルの放射線増感は、DPYD遺伝子の阻害と関連している可能性が示唆された。今後は、DPYD蛋白が、どのようにして、DNA2重鎖切断の相同組換え修復に、どのように関与しているか調べる予定である。
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