2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591616
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10235153)
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Keywords | 放射線増感 / DNA2重鎖切断 / 相同組換え修復 |
Research Abstract |
放射線治療期間に抗癌剤を併用する同時併用化学放射線療法は、放射線治療単独に比べ、治療成績の有意な改善をもたらしている。しかし、抗癌剤の毒性のため、照射と同時併用可能な抗癌剤の投与量は限定されている。従って、これ以上の治療成績の改善には、その薬剤自体の毒性が少ない放射線増感剤の開発が臨床上望まれている。そこで、臨床上すでに使用されており、毒性の少ない経口抗癌剤ティエスワン(TS-1)の1成分であるギメラシルの放射線増感効果について研究を行った。我々の研究により、 (1)10種の異なる癌細胞を用いたが、ギメラシルには、いずれも同程度の放射線増感効果が存在した。 (2)ギメラシルは細胞周期に対して影響を与えない。 (3)ギメラシルは、相同組み替えによるDNA二重鎖切断修復を部分的に抑制する。 (4)ギメラシルの放射線増感効果は、S期の細胞で最も高い。1回2Gyの分割照射とギメラシルの放射線増感効果との関係を検討した所、照射回数(総線量)が多くなるに従ってコントロール群と比較した場合のギメラシル添加群の放射線増感効果が大きくなる。 (5)ギメラシルの放射線増感効果がdihydropyrimidine dehydrogenase (DPYD)阻害によること((Cancer Science 102(9);1712-1716,2011) を明らかにした。現在は、DPYD蛋白が、DNA2重鎖切断の相同組換え修復に、どのように関与しているか研究中である。ギメラシルが放射線増感効果を現すには、in vitroで、1nM程度の濃度が必要であり、現在臨床で使用されている用量より多くの経口投与量が必要であるため、より強力なDPYD阻害剤も探索中である。
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Research Products
(3 results)