2010 Fiscal Year Annual Research Report
冷保存前灌流及びプロスタグランディンE1による肝温阻血再灌流障害抑制の試み
Project/Area Number |
21591626
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤松 順寛 東北大学, 病院, 助教 (50302112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 重人 東北大学, 病院, 助教 (00420042)
武田 郁央 東北大学, 病院, 助教 (90420033)
里見 進 東北大学, 病院, 教授 (00154120)
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Keywords | 肝温阻血再灌流障害 / 冷保存前灌流 / Prostaglandin E1 |
Research Abstract |
ラット肝を用いたex vivo灌流実験モデルを用いて、温阻血再灌流障害軽減目的で酸素化バッファーでの冷保存前灌流及び前灌流液へのProstaglandin E1(PGE1)添加効果について検討した.温阻血群では、30分のラット肝温阻血後に6時間冷保存し1時間再灌流した.前灌流群では、冷保存前に30分間常温酸素化バッファーにて灌流し、PG群では、前灌流液にPGE1(10ng/ml)を添加した。胆汁産生量、門脈灌流良の増加が前灌流群、PGE1添加群で認められたことは昨年度の研究実績にて報告した。本年度は、グラフト機能軽減効果の機序について検討を行なった。再灌流時の肝静脈からの灌流液の解析において、温阻血群より前灌流群ではALT、TNFα共に低下し、PG群では有意に低下した。再灌流後のネクローシス領域を肝組織のHE染色標本にて検討したところ、心拍動群では2.9%、心停止群では13.8%、前灌流群では8.1%、PG群では3.7%であった。又、TUNEL染色によるアポトーシス細胞数の検討では、心拍動群では7.4個/mm^2、心停止群では56.3個/mm^2、前灌流群では31.2個/mm^2、PG群では18,6個/mm^2であり、PGE1添加により細胞死の抑制が有意に認められた。更にウエスタンブロッティングにてBax、JNKのミトコンドリアへの移行を調べたところ、Baxの移行がPG群では抑制されていた。これまでの解析とあわせると、PGE1を添加した酸素化バッファーにて冷保存前に温阻血を被った肝臓を灌流する事によりグラフト機能が改善した要因として、ミトコンドリアへのBaxの移行を抑制し、ネクローシス・アポトーシスを抑制していることが関与していると考えられた。
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