2011 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF/VEGFR2経路遮断による制御性T細胞誘導抑制と腫瘍内集積制御
Project/Area Number |
21591670
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (90291517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
大西 秀哉 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30553276)
中村 勝也 九州大学, 大学病院, 助教 (60585743)
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Keywords | Treg細胞 / VEGFR2 / FOXP3 / アバスチン / VEGF / 大腸癌 / 腫瘍内集積 / 予後因子 |
Research Abstract |
本研究は、制御性T細胞(Treg細胞)の一部にVascular endothelial growth factor receptor-2 (VEGFR2)が高い特異性を持って発現しているという発見(Suzuki, Onishi, Morisaki et al.Eur J Immunol 2010)に基づきVEGFR2の腫瘍内局所への集積に果たす役割を解析し、新生血管形成阻害とTreg細胞の腫瘍内集積制御という二経路を視野に入れVEGF阻害療法の可能性を検証することを目的とした研究である。 本年度は、抗VEGF抗体であるアバスチン投与患者によるTreg細胞数と予後を通して臨床的意義を解析する計画であった。以下、本年度に得られた新たな成果を記述する。 10症例の集積を想定していたアバスチン投与大腸がん症例数は予想数を越えたが、免疫療法などの併用症例の増加により、評価可能症例が4症例に留まり当初の本年度計画は達成できなかった。具体的には、解析可能であった4例中3例の末梢血Treg細胞に明らかなVEGFR2発現が確認され、うち2例においてアバスチン投与後末梢血Treg細胞数の減少が認められた。しかし、治療経過との関連解析はできなかった。 以上の、結果をうけ、VEGFR2の臨床的意義解析の方向を、大腸がん治癒手術症例における腫瘍局所VEGFR2発現Treg細胞数と予後との関連解析に変更した。その結果、FOXP3+Treg細胞数は、大腸癌患者の予後予測因子とは成りえなかった(Suzuki H, Morisaki T et al)が、大腸癌組織局所のVEGFR2+FOXP3+Treg細胞数は、リンパ節転移や病期といった病理学的因子とは相関を示さないにもかかわらず、無病生存期間および全生存期間の独立した予後予測因子であるといった興味深い結果を得た(現在論文再投稿準備中:Intratumoral FOXP3+VEGFR2+regulatory T cells are predictive markers for recurrence and survival in patients with colorectal cancer)。このことは、VEGFR2+FOXP3+Treg細胞が大腸癌細胞に対する生体側の因子として働いていることを強く示唆している。
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