2011 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスPの分泌制御による食道癌術後の誤嚥性肺炎の予防と嚥下機能改善
Project/Area Number |
21591716
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安田 卓司 近畿大学, 医学部, 准教授 (10324782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 均 近畿大学, 医学部, 教授 (70144475)
今本 治彦 近畿大学, 医学部, 准教授 (80351609)
今野 元博 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (00278681)
新海 政幸 近畿大学, 医学部, 講師 (80340793)
彭 英峰 近畿大学, 医学部, 講師 (20411605)
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Keywords | 食道切除術 / サブスタンスP / 誤嚥 / 嚥下機能 / 咳嗽反射 |
Research Abstract |
【目的】高齢者の不顕性誤嚥は、咳反射および嚥下反射を制御するサブスタンスPの分泌低下と関連がある。今回の研究の目的は、高齢者が大半を占める食道癌患者の食道切除術後の誤嚥発症にサブスタンスPが関与しているか否かを検討する前向き臨床研究である。【方法】食道癌で食道切除術が予定されている患者33名が本研究に登録された。クエン酸咳漱反射閾値試験、血中および唾液中サブスタンスP濃度を術前、術後2日目、術後7日目に測定し、術後の誤嚥発症との関連を検討した。なお、誤嚥は喉頭或いは気管支ファイバー下の観察で判定した。【結果】術後の誤嚥は7例に認め、内5名が肺炎を発症した。まず個々の症例毎に周術期の推移を検討した。咳漱反射は術後2日目に有意に低下していたが(p=0.009)、それ以外血中および唾液中サブスタンスPでは有意な変化は認められなかった。誤嚥発症の有無別に誤嚥群と非誤嚥群で比較検討したが、血中サブスタンスPにおいてのみ有意に誤嚥群で術前から低値を示し、咳漱反射や唾液中サブスタンスPでは有意な差は認めなかった。唾液中サブスタンスPは術後には口内乾燥により採取不能の症例が多く、術後の指標としては不適切であった。誤嚥に対するリスク因子を検討したが、単変量解析では術前の血中および唾液中サブスタンスP濃度が有意に誤嚥の発症と関連を示したが(p=0.004およびp=0.010)、ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析では、術前の血中サブスタンスP濃度が唯一の有意なリスク因子であった(p=0.006)。10pg/mlずつで区切った術前血中サブスタンスP濃度のカットオフ値の解析では、60pg/ml以下の濃度を呈する患者は術後誤嚥発症のリスクの高い症例と考えられた。【結語】術前血中サブスタンスP低値を示す症例は、食道切除術後の誤嚥発症に対するハイリスク群であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)