2009 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻害によって惹起される放射線感受性増強のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21591726
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西岡 将規 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50398020)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 美雄 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツアンド・サイエンス研究部, 教授 (70025716)
栗田 信浩 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (30335814)
岩田 貴 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00380022)
吉川 幸造 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 診療助教 (80448331)
|
Keywords | 癌 / 放射線 / 血管新生 / 放射線増感剤 / 低酸素 / HIF-1 / Oridonin / TPI(Thymidine phosphorylase inhibitor) |
Research Abstract |
[目的・背景]癌治療において放射線抵抗性は大きな問題であり、血管新生阻害によって惹起される放射線感受性増強のメカニズムを解明し、hypoxia状態での癌治療成績を向上させることが目的である。 [材料・方法]TPI(Thymidine phosphorylase inhibitor)、Oridoninに関して、大腸癌細胞株を用いてIn vitroでcytotoxic assayを行い、In vivo(直腸癌同所性モデル)で血管新生阻害因子、低酸素因子について検討する。 [研究成果] ・TPI(Thymidine phosphorylase inhibitor)について In vivoではTPI+RT(放射線)群はRT単独群と比して有意に腫瘍増殖を抑制し、TPIの抗腫瘍効果を確認するとともに下痢や体重減少などの有害事象は認めなかった。TPI+RT群は無治療群と比してVEGF、TGFβ、Rad 51 mRNAsの発現が有意に抑制されていることを確認したが、HIF-1α、Angiopoietin 1、CD44の血管新生に関与するmRNAの発現に有意差は認めなかった。さらに、TPI+RT群は無治療群、TPI単独群、RT単独群と比して抗VEGF抗体、抗CD34抗体による免疫染色でタンパク発現が有意に抑制され、また、TUNEL染色陽性細胞の発現が有意に増加していた。TPIは血管新生阻害作用だけでなくDNA修復を阻害してアポトーシスによって放射線の効果を増強させることを確認した。 ・Oridoninについて In vitroでは放射線併用により細胞増殖抑制効果が増大することを確認した。作用に関しては放射線との併用でOridoninによるautophagy効果は消失し、むしろapoptosisの効果が強くなり、血管新生阻害に関してはHIF1αの発現を抑制することを確認した。 In vivoでは放射線との併用でXenograftの体積はRT単独に比べ有意に抑制され、その抗腫瘍効果はautophagyの増大でなく、apoptosisによることを確認した。メカニズムに関しては、OridoninがHIF1α、VEGF、Ang-2 mRNAを抑制することを確認し、免疫染色でKi-67細胞が減少すること、Micro vessel densityを低下させることを確認した。 [結語・今後の展望]TPI、Oridoninともに血管新生阻害作用、放射線増感作用を有することを確認した。今後はメカニズムについてさらなる検討を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)