2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝臓転移制御をめざしたRAS・TGFベータ経路活性化の検討
Project/Area Number |
21591731
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡邊 昌彦 Kitasato University, 医学部, 教授 (80146604)
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Keywords | K-ras / TGF-beta / 若年 / 結腸癌 / 大腸癌 / stage III / MAPK / PI3K |
Research Abstract |
本研究でわれわれは大腸癌におけるK-ras変異とTGF-betaの活性化のクロストークにつきより詳細な機序を明らかにし、新たな治療標的を同定することを目的として研究を企画した。現在前半のK-rasに関する項目を臨床的詳細に検討しているところである。KK-ras変異は大腸癌の部位および年齢でその頻度が異なっており、両者により分けられた臨床的グループにおける予後検討では若年結腸癌におけるK-ras変異の、とくにstage III症例における予後に差を認めることがあきらかになった。つまり、大腸癌においてK-ras変異のない若年結腸癌はstage III症例とはいえ非常に予後がよいことが明らかになり、これは肝転移能が低いためであることがあきらかになっている。つまり、肝転移の標的としてのK-ras変異に特にちゅうもくしている(J. Surg Oncol.に提出中)。現在cetsuximabの有効性がK-ras変異をバイオマーカー指標として用いることが実臨床にはいってきているなか、このデータは貴重である。われわれは現段階では、若年結腸癌のK-ras変異なし症例の治療標的としてMSI, B-raf変異を調べることで癌発生経路を明らかにしそのうえで治療標的を探る方向で研究をすすめてる一方で、K-ras変異陽性症例にたいする治療標的に関しても新たな治療標的を明らかにしつつある。K-ras変異陽性症例に対してはPI3 kinase変異の重複例が多いことからMAPK/PI3K重複投与により新たな治療法が提案できる。また、臨床的にはcetsximabの副作用に対する処置にもなれてきたので、今後は若年結腸癌のcetsuximab感受性のbiomarkerとしてのK-ras変異の臨床的意義をさらに明らかにしていきたいと考えている。
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