2010 Fiscal Year Annual Research Report
定量的プロテオミクスとメタボロミクスの融合による膵癌薬剤感受性予測と耐性克服
Project/Area Number |
21591766
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
元井 冬彦 東北大学, 病院, 助教 (30343057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 英郎 東北大学, 病院, 助教 (50451563)
大槻 純男 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (60323036)
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Keywords | 膵臓外科学 |
Research Abstract |
平成21年度に確立された測定系、LC-MS/MSによるタンパク質同時絶対定量法を用い、GEM感受性の異なる7種類のヒト膵癌細胞株及び10患者の膵癌組織における膜タンパク質、GEM関連代謝酵素計100種類のタンパク質発現プロファイルを明らかにした。ヒト膵癌細胞株において7種類(ENT1,CNT1,CNT2,MRP9,FUPT1,TfR1,MRP8)の膜タンパク質の発現量がIC50値と相関した(p<0.05)。ENT1は核酸トランスポーターであり、GEM取り込みの主要なトランスポーターであると考えられてきた。しかしながら、膵癌細胞株におけるそのタンパク質発現量はIC50値の高いGEM低感受性な細胞程高発現する結果となった。更にENT1は全ての膵癌組織において検出され、無再発生存期間(DFS)の短い症例で高発現する傾向を認めた。ENT1はGEM低感受性のマーカータンパク質の候補となり得る可能性が考えられた。 GEM感受性の異なる2種類の細胞株からGEM獲得耐性モデルを作成し、獲得耐性機構を検討した。[5-^3H]Gemcitabineを用い輸送特性を解析すると、GEM獲得耐性膵癌細胞株では[5-^3H]Gemcitabineの濃度が上昇しても細胞内蓄積量が増加しないことが明らかとなった。更に親株では飽和性輸送を介し時間依存的にGEMを細胞内に取り込むのに対し、獲得耐性株では取り込み及び飽和性輸送を認めなかった。これより、膵癌のGEM獲得耐性機構としてGEM取り込みの著明な減少が大きく関与することが示唆された。臨床情報との統合を目指し、まず、膵癌手術治療効果を、血清腫瘍マーカーを用いた評価法(外科的RECIST)で評価する方法を確立し、報告した。腫瘍マーカーによる評価が予後予測・治療効果評価に重要で、GEM感受性の臨床的評価に反映される可能性があり、症例を集積して更に検討することとした。
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[Presentation] 膵癌術前化学療法としてのGemcitabine+TS1療法(GS療法)の安全性・有効性の検証:NAC GS第II相臨床試験 第1次報告.(パネルディスカッション)2010
Author(s)
元井冬彦、乙供茂, 及川昌也, 岡田恭穂, 内山哲之, 井伊貴幸, 竹村真一, 岩指元, 島村弘宗, 赤田昌紀, 佐藤賢一, 片寄友, 江川新一, 下瀬川徹, 海野倫明
Organizer
第22回日本肝胆膵外科学会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
2010-05-27
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