2011 Fiscal Year Annual Research Report
定量的プロテオミクスとメタボロミクスの融合による膵癌薬剤感受性予測と耐性克服
Project/Area Number |
21591766
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
元井 冬彦 東北大学, 病院, 講師 (30343057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 英郎 東北大学, 病院, 助教 (50451563)
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Keywords | 膵臓外科学 |
Research Abstract |
平成22年度までに樹立したGEM獲得耐性膵癌細胞株(PK9-R)とその由来親細胞株(PK-9)を用いて、その感受性差(50%生育阻害阻止濃度で2.8×10^5倍)を生み出す分子メカニズムに迫るため、LC-MS/MSによるGEM代謝関連酵素の網羅的蛋白定量を行った。PK-9Rでは、dCKの細胞内濃度がPK-9の約1/50未満に低下しており、検出限界以下であった。一方で、他の酵素の一部(RRM1,CTPS1,CTPS2)は1.2-1.9倍に増加しており、またENT1,MRP1,MRP4などのトランスポーターの発現も1.4-2,2倍に増加していた。 培養条件下で細胞内外のGEMの中間代謝物を測定すると、PK9RではPK9に比べ、細胞外dFdU(GEM不活性化体)が増加・細胞内しており、GEM不活化酵素CDA阻害剤(THU)添加下では、この変化は以降のリン酸化(活性化)代謝体であるdFdCDP,dFdCTPも含め消失した。これらの結果から、GEMの獲得耐性には細胞内リン酸化過程が重要であることが示唆された。更にPK-9RにdCKを添付することで、リン酸化代謝反応は回復することから、dCK発現の低下がGEM獲得耐性に重要であることが明らかにされた。 膵癌GEM治療における上記因子の寄与を明らかにするために、膵癌切除例の腫瘍部から関連因子の蛋白定量を行い、切除後GEM補助療法施行条件での生存期間と蛋白発現の相関を検討した。dCKは生存期間有意な相関(r=0,995)を認め、獲得耐性モデルを用いたin vitroのデータと合わせ、dCKがGEM耐性機序のKey moleculeであると結論した。
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