2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591834
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉田 正夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (70235886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 博之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30241623)
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Keywords | 脳虚血 / 脂肪酸結合蛋白 / 神経新生 / 神経細胞保護 |
Research Abstract |
【目的】脳型脂肪酸結合タンパク(FABP)は脂肪酸の代謝のみならず、中枢神経の発生において重要な役割を担っていることが明らかになってきているが、虚血後神経新生における役割は解明されていない。本検討では、ノックアウトマウスを用い、虚血後神経新生における脳型FABPの役割を検討した。【方法】雄性C57/BL6野生型(Wt)マウスと脳型FABPノックアウト(KO)マウスを用いた。前脳虚血は両側総頸動脈を20分間閉塞することで作成し、脳血流が前値の13%未満に低下したものを使用した。虚血性神経細胞障害は、虚血後10日目に評価した。虚血後神経新生は、新生細胞マーカーであるBrdUを用いて評価した。さらに各種神経細胞マーカーによる多重免疫染色を行い、新生細胞の分化についても検討した。【結果】虚血10日後には、海馬hilusを中心に虚血性障害を認めた。WtマウスとKOマウスで細胞障害の程度に差を認めなかった。虚血負荷をかけると海馬歯状回顆粒細胞下層における新生細胞は有意に増加し、その生存期間についても延長を認めたが、KOマウスではどちらも抑制された。新生細胞は、虚血10日後には40%の細胞がNestin陽性だったが、23日後には7脇がdouble cortin陽性、39日後には76%がNeuN陽性となった。KOマウスでは、虚血後10日、16日、23日の時点でのdouble cortin陽性率がWtマウスに比べて有意に高かったが、虚血後39日でのNeuN陽性率に関しては差を認めなかった。【結論】脳型FABPは虚血性細胞障害には影響しないものの、虚血後新生細胞発現の賦活化や、生存期間延長に関与するものと思われた。また、虚血後神経幹細胞の分化を抑制し、神経幹細胞の維持に関与していることが示唆された。
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