2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591834
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉田 正夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 医学研究員 (70235886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 博之 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30241623)
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Keywords | 脳虚血 / 脂肪酸結合蛋白 / 神経新生 / 神経細胞保護 |
Research Abstract |
前年度までのノックアウトマウスを使用した研究により、脳型FABPは虚血後神経細胞障害には関与しないものの、非虚血および虚血後の新生神経細胞の増殖に関与していることが示された。そこで本年度は、虚血後海馬での脳型FABPの発現動態を解析し、その役割についての検討を進めた。前脳虚血モデルは雄性C57/BL6野生型マウスおよび脳型FABPノックアウトマウスを用い、両側総頚動脈を20分間閉塞することで作成した。Western blot解析の結果より、海馬での脳型FABP発現は虚血後7-10日の時点で、非虚血状態に比較し有意に亢進していることが示された。免疫染色でも同様に、虚血後7日の時点で脳型FABP発現の亢進を認め、これは海馬歯状回顆粒下層の神経幹細胞(nestinおよびGFAP陽性細胞)で認められた。新生細胞(BrdU陽性細胞)の大部分は脳型FABP陽性であり、一部の脳型FABP陽性細胞は幼弱神経細胞(double cortin陽性細胞)とも共陽性を示したが、成熟神経細胞(NeuN陽性細胞)とは共陽性を示さなかった。ノックアウトマウスでは、western blot解析および免疫染色の両者において脳型FABPの発現を認めなかった。前年度までの結果と合わせ、脳型FABPは、海馬SGZの神経幹細胞~幼弱神経細胞に発現し、非虚血および虚血後の両者において、これらの細胞の増殖に関与することが解明された。また、新生細胞を未分化な状態で増殖かつ維持させることにより、脳型FABPが神経新生を制御している可能性が示唆された。
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