2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591876
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
村田 英俊 Yokohama City University, 医学部, 助教 (40398524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 洋 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40244496)
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Keywords | 脊髄損傷 / 病態 / 治療 / 再生 |
Research Abstract |
非骨傷性頸髄損傷は、本邦の頸髄損傷の約半数をしめるとされる。同頸髄損傷は、いわゆる「中心性損傷」を含めて、多くの疑問点を内在している。そこでラット頸髄慢性圧迫モデルを用いて、非骨傷性頸髄損傷を誘発し、その病態の解明に迫った。Wister rat C56椎弓下に吸水性ウレタンを挿入し、圧迫モデルを作成した。運動機能の維持可能な期間を2群にわけ、短期圧迫(EC)群(2週間圧迫:脊髄変性なし)と中期圧迫(MC)群(10週間圧迫:脊髄変性あり)にわけて検討した。同ラットに過伸展負荷を加え、非骨傷性損傷を誘発した。負荷前後でローターロッドの回転時間、前肢、後肢の筋力を測定し、またその病理標本(HE, KB)作製し、症状と病理像の照合を行った。損傷面積率を算出し、症状との相関を検討した。損傷パターンは様々な領域をとりえた。しかし、損傷を受けた群でみると、EC群に比べMC群で大きかった。EC群では灰白質に損傷が集中するのに対し、MC群では灰白質以外にも損傷が広がる傾向にあった。前肢症状を主体とする"中心性損傷"はEC群で優位に多く、灰白質に損傷が集中し、MC群では多様に分布した。EC群では灰白質障害が主体となり、前肢優位の運動障害もそれに起因すると思われた。一方、MC群では、灰白質障害に加えて、白質、後索などの損傷も目立ち、前肢優位障害の場合も、灰白質のみならず、多様な障害パターンを示すことがわかった。すなわち、潜在する脊髄変性の程度が、大きくその後の損傷にも影響を与えている可能性を示唆した。今後電気生理検査で更に病態を明らかにし、次年度以降治療実験へと移行していく予定である。
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