2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳白質線維画像の統合による機能的脳治療システムの開発
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21591881
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
丸山 啓介 杏林大学, 医学部, 助教 (10345192)
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Keywords | MRI / 拡散テンソル / 定位放射線治療 / 手術支援 |
Research Abstract |
定位放射線治療を行った脳動静脈奇形の症例144例中のうち、特に損傷されると重篤な障害が発生し臨床上大きな問題となる白質線維である錐体路、視放線、および弓状束の3つの線維に近接している71例において、これらの線維を描出して定位放射線治療の計画装置に統合した。これまでの研究結果に基づき錐体路は20Gy、視放線は8Gy、弓状束は側頭葉側は8Gy、前頭葉側は20Gy以下となるように照射を行った。治療後の経過観察にて得られた臨床情報から合併症の出現の有無と出現した時期について追跡調査を行った。中央値23ヶ月の経過観察期間において、既存の感覚障害の悪化と一過性の麻痺を認めたが、後者はステロイド投与にて治癒を認めた。弓状束を統合して以降は言語障害が出現した症例はなかった。以上のように、定位放射線治療において白質線維画像を統合することにより、確実に合併症を予防できることが証明された。 次に、この手法を応用して開頭手術に際して利用する術中ナビゲーション画像にも白質画像の統合を導入した。術中に白質を電気刺激することにより、統合された錐体路がそこに実際に存在していることが直接的に証明され、この手法の信頼性を確認することができた。これについては次年度にデータの蓄積を行う予定である。 また、副次的な研究結果として、弓状束のさらに詳細な検討を行い、また錐体路に近接する視床の病変に対する定位放射線治療における白質画像の統合の有用性についても見出した。
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Research Products
(19 results)