2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591897
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
酒井 義人 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 先端診療部・骨粗鬆症科, 医長 (70378107)
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Keywords | 脊椎脊髄病学 / 腰痛 |
Research Abstract |
高齢者の腰椎変性疾患の代表である腰部脊柱管狭窄症手術者を対象に、術前後のデータ収集を継続中である。H23年4月現在、100例の術前データと50例の術後データを収集しえた。術前100例のデータ解析を行い、腰部脊柱管狭窄症に伴う腰痛の要因を推測しえた。腰部脊柱管狭窄症手術例100例中腰痛を呈したのは53例で、腰痛性間欠性跛行36例、動作時腰痛17例であった。各種疼痛評価では腰痛VAS、 RDQ、 JOAスコアでは差は認めなかったものの、下肢痛VASでは動作時腰痛で有意に高かった。SF-36、EQ5Dにおいては腰痛性間欠跛行、動作時腰痛では腰痛なし群に比べphysical、 mentalとも有意に低い項目がみられた。腰椎X線での前弯角、仙骨傾斜角、腰椎可動域には有意差を認めず、MRIでの脊柱起立筋、多裂筋断面積、多裂筋脂肪変性においても有意差を認めなかった。腰痛性間欠跛行における腰痛のlateralityは31例(86.1%)で下肢痛のlateralityと一致していたが、患側における筋萎縮は有意ではなかった。DXA法による筋量評価では、腰痛性間欠跛行において上肢筋量が有意に低いものの、下肢、体幹筋量では有意差を認めなかった。NIRSでの評価では腰痛性間欠跛行では腰椎伸展時のOxy-Hb増加が有意に少なく、屈曲時のDeoxy-Hbの増加が多い傾向(p=0.068)であった。腰部脊柱管狭窄症における腰痛性間欠跛行は痩せ型の女性に多い傾向であり、腰痛の程度としては動作時腰痛と比べ差はなく、動作時腰痛の心因性関与が示唆された。下肢痛に加えて腰痛を伴うことによりADLの低下が示唆された。下肢および体幹筋量では十分保たれていると考えられ、下肢痛のlatetarilyと腰痛性間欠跛行のlateralityとは関連があったものの、罹患側の背筋は必ずしも萎縮や脂肪変性には陥っていなかった。腰部脊柱管狭窄症では神経根圧迫による後枝の障害により、筋収縮や筋酸素動態に与える影響が腰痛性間欠跛行の発症に関連すると考えられる。腰部脊柱管狭窄症に伴う腰痛が手術、すなわち圧迫された神経の除圧によりいかに改善されるか、改善されにくい腰痛はいななる腰痛かを術後データから解析する予定である。
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Research Products
(11 results)