2010 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙(ニコチン)による胎児・小児の骨軟骨成長障害に関する研究
Project/Area Number |
21591960
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 和毅 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60235322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川北 敦夫 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 共同研究員 (40338083)
斉藤 憲太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90383893)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (70213486)
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Keywords | 喫煙 / ニコチン / 骨軟骨 / 成長障害 / 胎児・小児 |
Research Abstract |
本研究の目的は、喫煙(ニコチン)が胎児・小児の骨軟骨の成長を障害することを実験的に明らかにすることである。 (実験2)ヒト成長軟骨細胞におけるニコチンの下流シグナルの同定 単層培養ヒト軟骨細胞を0.5mMのニコチンで刺激し、蛍光カルシウム指示薬を用いて細胞内カルシウムイオン動態の観察(calcium influx assay)をおこなった。さらに、2種類のニコチンのantagonist(阻害剤)(α-bungarotoxine(Competitive antagonist)_Mecamylamine(nonselective nAChR antagonist))を加えた場合のカルシウムイオン動態を観察した。 結果:同培養細胞を0.5mMのニコチンで刺激したところ一過性の細胞内カルシウム濃度の上昇が観察された。さらに、二種類のantagonistによりカルシウム濃度の上昇は抑制された。 (実験3)マウス胎児のde novo内軟骨性骨化に対するニコチンの影響の観察 in vivoでニコチンが内軟骨性骨化に与える影響を調べる目的で以下の実験を行った。 野生型妊娠マウス(C57BL6Jマウス)をニコチン入り飲料水摂取群と対照群の2群に分け、その胎児のde novo内軟骨性骨化の進行過程を組織学的に観察した。胎生15日マウスの大腿骨の成長をニコチン非摂取マウスの胎児と組織学的に比較した。顕微鏡学的に大腿骨長(Femur Length;FL)、肥大層の厚み(Hypertrophic Length of the Femur;HL)、さらにこれらの値から大腿骨における肥大層の占める率(HL/FL)を算出した。 結果:ニコチン入り飲料水摂取群は対照群よりも内軟骨性骨化が遅延しており骨長も小さかった。胎生15日マウスの大腿骨の成長をニコチン非摂取マウスの胎児と組織学的に比較したところ、顕微鏡学的に大腿骨長(Femur Length;FL)、肥大層の厚み(Hypertrophic Length of the Femur;HL)、さらにこれらの値から算出した大腿骨における肥大層の占める率(HL/FL)は有意な差をもってニコチン非摂取群が大きかった。
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