2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21591997
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福田 妙子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40228911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 節二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70136216)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 術後痛 / 動物モデル / ニューロステロイド |
Research Abstract |
我々は平成23年度までに、ニューロステロイドの1種であるアロプレグナノロンがラットの術後痛モデルにおいて疼痛閾値の上昇すなわち鎮痛効果をもたらすことを明らかにした。平成24年度においては、このアロプレグナノロンと現在臨床で使用されている消炎鎮痛薬を併用した場合の鎮痛作用について検討することを目的とした。 具体的には、アロプレグナノロン0.16mg/kgの皮下投与とインドメタシン10mg/kg、5mg/kg、1mg/kgの経口投与の併用を試みたが、インドメタシン単回投与では効果がなく、連続投与では消化管潰瘍などの副作用がおこるため充分な効果を確認することはできなかった。 そこで、アセトアミノフェン300mg/kg/日の経口投与とアロプレグナノロン0.16mg/kg皮下投与の併用効果を調査した。モデル作成12時間後と36時間後に機械刺激(von Frey filaments)に対する閾値が併用した群ではアセトアミノフェン単独群より高い値を示した。 ただしこの結果は、アセトアミノフェンを複数回経口投与するという今回の実験スタイルが動物にとってストレスになり全体的に閾値を低下させた可能性があると推測された。理由は、今年度のデータを昨年度のアロプレグナノロン群及びその対照群のデータと比較すると、疼痛閾値がむしろやや低い傾向を示していたからである。 以上、技術的な問題もあって明瞭な結果は得られなかったが、少なくともアロプレグナノロンはアセトアミノフェン併用で48時間以内に相乗効果は望みにくいことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成21年度と平成22年度で、Brennanの手術創モデルの確認を終了した。平成23年度には、アロプレグナノロン少量(0.16mg/kg)と大量(1.6mg/kg)投与を行い、少量投与群のほうが対照群に比較して有意に疼痛閾値の上昇すなわち鎮痛効果を示すことを明らかにした。この結果は、これまで他の疼痛モデルで報告されていたアロプレグナノロンの鎮痛効果の特徴と一致するもので、アロプレグナノロンの鎮痛効果が単一メカニズムでないことを示唆するものであった。 今年度は、このアロプレグナノロンと既存の鎮痛薬の併用効果を確認する目的で、消炎鎮痛薬のインドメタシンとの併用を試みたが、複数回投与の段階で消化性潰瘍と思われる死亡例があり、投与量減量を余儀なくされた結果十分な併用効果は確認できなかった。そこで、アセトアミノフェンに着目し併用効果を検討した。一部効果は確認できたが、胃管挿入のストレスのためやや閾値が低下して完全に併用効果を証明するには至らなかった。 以上、平成24年度の結果だけはやや不十分であったが、過去4年間の総合結果としては、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、消炎鎮痛薬(NSAIDs)以外の鎮痛補助薬とアロプレグナノロンの併用効果を検討していく予定である。 当初の予定では、α2受容体作動薬であるクロニジンとGABA受容体作動薬のガバペンチンを予定していたが、クロニジンは眠気などの副作用及び胃管投与によるストレスの可能性を考慮して、ガバペンチンについてのみ検討することとした。 具体的には、20分前に生理食塩水あるいはガバペンチン30mg/kgないし100mg/kgを10ml/kgにして腹腔内投与し、15分前にアロプレグナノロン0.16mg/kgあるいは溶剤のみを皮下注射した後、Brennanの手術創モデルを作成する。その後2,12,24,36,48,168時間後に、姿勢をスコア化して測定する自発痛の程度、またvon Frey filamentsで創部近くの皮膚を刺激して得られる機械的アロデニアの程度、さらに52度の温水に尾を浸して調べる周辺組織の熱刺激アロデニアについて調べる予定である。
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