2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経成長因子をターゲットにした癌性疼痛の遺伝子治療
Project/Area Number |
21592009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
溝渕 知司 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70311800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板野 義太郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30127542)
松三 絢弥 岡山大学, 大学病院, 医員 (50509437)
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Keywords | 脳由来神経成長因子 / がん性疼痛 / 難治性疼痛 / 痛み / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
脳由来神経栄養因子(BDNF)には9つのエクソンが存在するが、我々は以前に疼痛に関与すると思われるエクソンを特定し報告した。本研究では、疼痛に特異的なBDNFエクソン1をターゲットとしたDNAデコイを作成し、転写調節を選択的に阻害することで難治性痺痛治療への応用をめざしている。 1) BDNFエクソン1の転写調節領域の特定 転写調節領域が存在すると思われるエクソン1の上流から、長さの異なる3つのプロモーター領域をデザインした。それぞれをルシフェラーゼレボータープラスミドに挿入し、ラットC6細胞に導入した。ルシフェラーゼアッセイの結果から、強いプロモーター活性を持つ部位を特定した。 2) DNAデコイの作成 1)で特定した部位をさらに7つのフラグメントに分割した。それぞれのフラグメントの存在下で、再度ルシフェラーゼアッセイを同条件で行った。最も転写活性を抑制したフラグメント、あるいは著明に抑制する数種類のフラグメントを組み合わせたものをDNAデコイとして採用した。 3) in vivoでのDNAデコイの鎮痛効果確認 a) 炎症性疼痛モデルに対する効果 ラットの後肢足底に完全フロイントアジュバント(CFA)を注入して炎症性疼痛モデルを作成した。投与経路としてクモ膜下カテーテルを留置し、CFA投与2日前から3日間連続でDNAデコイを投与した。CFA投与により患肢の疼痛閾値は著明に低下するが、DNAデコイ投与群ではコントロール群と比較して有意に疼痛閾値の上昇がみられた。 b) 神経因性疼痛モデルに対する効果 ラットの第5腰神経を強く結紮して神経因性疼痛モデルを作成した。神経結紮後5日目から3日間連続でDNAデコイをクモ膜下投与した。神経結紮により患肢の疼痛閾値は著明に低下するが、DNAデコイ投与群ではコントロール群と比較して有意に疼痛閾値の上昇がみられた。 現在、骨性がん性疼痛モデルを作成しており、上記DNAデコイの効果をがん性疼痛モデルで確認する予定である。
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Research Products
(2 results)