2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経成長因子をターゲットにした癌性疼痛の遺伝子治療
Project/Area Number |
21592009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
溝渕 知司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70311800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松三 絢弥 岡山大学, 岡山大学病院, 医員 (50509437)
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Keywords | がん性痛 / 脳由来神経成長因子 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
(内容)我々はラット脛骨骨髄内にラット乳がん細胞であるMRMT-1を注入することにより骨がんモデルを作製し、神経成長因子BDNF発現の変化を検討した。具体的には、麻酔下ラットの脛骨にがん細胞を注入しその後の変化を観察した。ラット脛骨での腫瘍の成長をX-Pにて確認したところ、術後7日目では変化がなかったが、14日目では腫瘍の成長に伴う骨透亮像と骨表面のけば立ちを認め、21日目では脛骨近位部の著明な骨破壊を認めた。行動評価においてはWeight Bearing Test、Von Frey Testの双方とも術後9日目より疼痛行動を観察し得た。この疼痛行動は徐々に顕著となり、観察を終了する14日目まで観察された。 RT-PCRではL3DRGにおいてSham群と比較してMRMT-1群でBDNF mRNAの発現が増加していた。L4、L5DRGにおいてはBDNF mRNAの発現に差を認めなかった。 免疫組織染色ではL3DRGのsmall cellにおいてsham群と比較してMRMT-1群でBDNFの産生が増加していたが、mediumおよびlargecellでは差を認めなかった。L4、L5DRGにおいてはすべてのcellsizeにおいてBDNFの産生に差を認めなかった。 (意義と重要性)我々はこれまで神経障害性痛ラットモデルおよび炎症性痛モデルで、DNAデコイを使用しBDNF発現を抑制することにより鎮痛効果を認めている。ラット骨がんモデルにおいてもBDNFを抑制することにより疼痛を緩和することが出来る可能性が示唆される。 現段階では本研究の当初の計画であったBDNFを抑制するためのshRNAの開発にはいたらなかった。shRNAなどの方法でBDNFを抑制し疼痛を緩和することが出来れば、現在がん性疼痛で苦しむ多くの患者の福音となるはずであり、今後の研究課題であると考えている。
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