2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線傷害膀胱に対する自己骨髄細胞移植治療の臨床応用への検討
Project/Area Number |
21592069
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 晴朗 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (90233808)
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Keywords | 再生医療 / 放射線治療 / 排尿障害 / 骨髄由来細胞 |
Research Abstract |
われわれは、膀胱癌や前立腺癌、あるいは、子宮癌等の放射線治療によって副次的な傷害による排尿障害が生じた膀胱に対して、骨髄由来細胞移植することによって、正常な膀胱を再生できるのか検討している。本研究では、ラット放射線照射障害膀胱モデルを作製し、骨髄由来細胞移植は、有効な治療となり得るのか検討する。本年度の研究成果は、個体差がなく、再現性があるラット放射線照射障害膀胱モデルの作製に成功したことである。モデル作製条件は、10週齢雌SDラットに、局所放射線照射を行うための鉄版(自作)をあて、恥骨に接する直径1cm円内へのこの円内に、一週間に1回、2グレイの放射線照射量の照射を1サイクルとして、5サイクル行う。照射サイクルを終えて、2週間通常飼育を行う。この条件によって作製されたラットの膀胱機能は、放射線照射しなかった正常ラットと比較して、膀胱収縮圧には変化がないが、排尿間隔時間と残尿量において統計学的有意な延長と増大が認められた。また、放射線照射した膀胱の病理組織は、一部の平滑筋層が損傷しており、また、神経特異的抗体に陽性な細胞が著しく減少していることを確認した。次年度は、実際の臨床でみられる放射線治療によって生じた膀胱機能障害所見との比較を行うことによって、このモデルの有用性について検討する。また、骨髄由来細胞を、放射線照射によって傷害を与えた膀胱に移植し、健常な膀胱が再生するかどうか検討を行う。膀胱癌や前立腺癌、さらには子宮癌等の放射線療法において、高レベル放射線照射による治療効果の向上、治療後の膀胱機能障害の回避に伴うQOLの向上など、患者ことって有益となる新たな展開が期待できる。
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