2011 Fiscal Year Annual Research Report
生殖・周産期医療における内分泌・免疫ストレス要因の影響の解析
Project/Area Number |
21592118
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
下屋 浩一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40291950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆文 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20303969)
中井 祐一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (50271193)
福家 信二 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50333696)
張 良実 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70565910)
郭 翔志 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50464178)
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Keywords | 早産 / 子宮内感染(絨毛羊膜炎) / Fractalkine / 6 Ckine / 卵胞 / 体外受精・胚移植 / 母体ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的はヒト臨床検体を用いて各種因子の蛋白および遺伝子レベルでの発現を解析し、内分泌ストレス因子・母体ストレスの定量化により母体ストレスと産科異常との関連を分析し、妊娠中の病態との関連を見出すことである。平成23年度は昨年度に引き続き、慢性炎症などに関与するFractalkine(FRK)の妊娠中の動態を解析し、臍帯血FRKは母体血に比べて有意に高値で絨毛膜羊膜炎合併症例では臍帯血清FRKは高値を示し、早産症例では母体血清FRKは高値を示した。さらに生殖領域において体外受精胚移植の際の卵胞液を採取保存し、卵の質と卵胞液中FRK濃度との関連解析を行った。卵胞液中にFRK蛋白の存在を確認したが、妊娠成立群、妊娠不成立群、科学流産群では、卵胞液中及び血清中のFRK値は三群間で有意差を認めなかった。したがって本検討では卵胞液中FRKは卵胞発育・卵の質の評価に直接関連性を示すことはなかった。一方、単球や好中球に対する遊走・活性化作用を有さず、リンパ球・NK細胞・樹状細胞に対してのみ遊走・活性化作用を有する因子である6 Ckineについて周産期領域における病態とくに早産・子宮内感染への関与について検討した結果、胎盤組織・卵膜に6 Ckineの発現が認められ、母体血中に比して謄帯血中で高濃度であった。胎盤感染を伴う場合、母体血中で高値を示し、また早産でも同様の傾向であったが、臍帯血中ではこうした変化は確認できなかった。また、胎盤組織における6 Ckine蛋白の発現も感染および早産において増加する傾向が認められた。6 Ckineも感染および早産において他のサイトカイン同様に産生が増加し、母体血中にそれが反映されていた。このことは、子宮内感染において好中球・マクロファージ系のみならず、リンパ球・NK細胞・樹状細胞にも影響を及ぼし、これら免疫系細胞システム・ストレスの変化による妊娠への影響の可能性が示唆され、これら免疫担当細胞をターゲットとした治療戦略の可能性が示された。
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