2010 Fiscal Year Annual Research Report
上眼瞼ミュラー筋内の機械刺激受容チャネルに関する組織学的研究
Project/Area Number |
21592284
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杠 俊介 信州大学, 医学部, 准教授 (10270969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 清 信州大学, 医学部, 教授 (20135156)
藤田 研也 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (00447781)
矢野 志春 信州大学, 医学部・附属病院, 助教(診療) (10531907)
伴 緑也 信州大学, 医学部, 助教 (30447784)
三島 吉登 信州大学, 医学部・附属病院, 助教(診療) (80464098)
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Keywords | 上眼瞼 / ミュラー筋 / 機械刺激受容 / カハール介在細胞 / ICC / 平滑筋 / 整経線維 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
【背景】ミュラー筋が眼瞼挙筋の収縮を調節している機械刺激受容器官として働いていて、TRPVに代表される機械刺激受容チャネルがミュラー筋の平滑筋細胞内や末梢神経に存在することについて組織学的、生理学的に昨年度証明した。カハール介在細胞ICCは、消化管や膀胱等の平滑筋層内に存在し、その自動運動のペースメーカーとして働くものと、神経と平滑筋との間に介在して神経伝達を調整する働きをするものとがある。ICCはc-Kitがその特異的マーカーとして認められている。組織内においてc-Kitが陽性になる細胞は、ICCの他にメラノサイト、肥満細胞、精母細胞、造血幹細胞に代表される幹細胞などである。 【目的】平滑筋組織であるミュラー筋内にICCが存在して平滑筋細胞と神経終末との間を介在していると仮定し、実際にICCがミュラー筋内にあるかどうか、組織学的に検索した。 【方法】5個の正常上眼瞼組織(年齢76-92歳(82.6±62)、男3、女2)を緩衝ホルマリン固定、パラフィン包埋の後、水平軸位断で連続切片を作成した。平滑筋アクチンSMA、c-Kit、S100に対する抗体を一次抗体とした免疫組織化学染色を行った。さらに、トルイジンブルー染色を行った。 【結果】ミュラー筋の平滑筋組織の間隙に、多数のc-Kit陽性細胞を認めた。大型のc-Kit陽性細胞はトルイジンブルー染色にてメタクロマジーを起こす肥満細胞であった。トルイジンブルーに反応していない小型のc-Kit陽性細胞も認められ、それらはSMAやS100には陰性で平滑筋細胞や有髄神経ではなかった。 【考察】小型のc-Kit陽性細胞はICCと考えられた。ミュラー筋内にもICCが存在し、その緊張状態の制御に関連した神経と平滑筋内との間の刺激伝達に一役を担っている可能性がある。
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Research Products
(1 results)