2009 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚形態形成におけるサイモシン ベーター 4を中心とした分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
21592331
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 家吉 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 准教授 (40243951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 英隆 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (80136499)
永田 健吾 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (90189134)
清島 保 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (20264054)
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Keywords | 歯の発生 / 基底膜 / 歯胚 / 細胞・組織 / 歯学 / ノックダウンアッセイ / アンチセンス法 / 器官培養 |
Research Abstract |
本科学研究補助金により研究期間の初年度である平成21年度において以下の研究成果を得た。 1. Thymoshin beta 4(Tb4)と同様にcDNAサブトラクション法により胎生12日齢(E12.0)の下顎に高発現を呈するRibosomal protein L21(Rpl21)について歯胚における発現様式を解析し、Rpl21が歯胚の発生やエナメル質の形成に関与を示す発現パターンを捉えた。この研究成果は論文に発表した。 2. Tb4の歯胚発生過程における特異的な発現パターンをすでにHistchemistry and Cell Biologyに発表した(124 : 207-213, 2005)。これより、Tb4が歯胚の発生と分化に関連している事が考えられた。この考えに基づき本研究課題では歯胚発生・形態形成におけるTb4の機能的役割を明らかにすることを目的とした。当該年度における研究成果を以下に示す。(1)E11.0下顎およびE15.0歯胚の器官培養下Tb4アンチセンスオリゴ(Tb4 AS S-ODN)を用いてTb4発現ノックダウンアッセイを行った。Tb4 AS S-ODN処理を8日間施したE11.0下顎において、歯胚形態形成初期に生じる歯胚上皮の間葉組織への陥入、さらに続くエナメル器形成の抑制が有意に見られた。これより、歯胚形態形成においてTb4は重要な機能的役割を担っていることが明らかとなった。(2)同材料を用いてmRNAの発現定量解析を行った。解析の結果、Tb4がDmp-1、Dspp、amelpgenin、amelpblastinなど歯牙形成に係わる遺伝子の発現を制御している事や、これらの遺伝子の上流にあるRunx2/CbfalやNucleolinの発現制御に関与していることが明らかとなった。(3)上皮細胞の間葉への陥入に必須の基底膜の改造に関わるMatrix metaloproreinase-2/-9(MMP-2/-9)の発現におけるTb4の関与を捉えるために、Tb4 AS S-ODNを24時間処理した培養歯原性細胞の培地より蛋白質を回収しMMP-2/-9の酵素活性を計測した。測定の結果では歯原性上皮細胞より分泌したMMP-2活性の低下がみられ、Tb4のMMP-2発現調節機構の存在が示唆された。
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