2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯胚形態形成におけるサイモシン ベーター 4を中心とした分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
21592331
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 家吉 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (40243951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 英隆 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80136499)
永田 健吾 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90189134)
清島 保 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20264054)
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Keywords | 歯の発生 / 基底膜 / 歯胚 / 細胞・組織 / 歯学 / ノックダウンアッセイ / アンチセンス法 / 器官培養 |
Research Abstract |
歯胚発生過程におけるTβ4の機能的役割を明らかにする目的に、平成21・22年度に引続きTβ4の機能解析を進めてきた。本科学研究補助金により最終年次平成23年度において以下の研究成果を得た。 (1)E11.0下顎およびE15.0歯胚の器官培養下Tβ4アンチセンスオリゴ(Tβ4 AS S-ODN)を用いてTβ4発現ノックダウンアッセイにより、歯胚発生初期の段階でTβ4はエナメル器の形成において重要な機能的役割を担っていることが予想された。同条件下E11.0下顎器官培養におけるmRNAの定量解析を行った所、Tβ4ノックダウンにおいてtype II/III Runx2およびDentin matrix protein 1(Dmp1)の有意な発現低下を認めた。蛋白質レベルでも、Tβ4 AS S-ODN処理した下Runx2発現は有意な低下を示していた。同材料において細胞増殖活性度をKi-67免疫組織化学染色で検索した所、Tβ4 AS S-ODN処理した歯胚とコントロールに有意な差はなかった。これより、Tβ4は、細胞増殖ではなく、Runx2等発現調節により歯胚の形態形成に関与しているようだ。 (2)E15.0歯胚の器官培養下Tβ4発現ノックダウンアッセイを行ったが、組織形態学的に歯胚の発育に著明な変化を呈さなかった。同材料のmRNA発現解析では、Tβ4 AS S-ODN処理によりtype II/III Runx2, Nucleolin, Dmplおよびmatixmetalloproteinase2/9(Mmp2/9)の有意な発現低下を認めた。E15.0におけるこれら遺伝子発現の低下が歯胚形態変化に影響しないようだ。 (3)歯原性上皮細胞をTβ4 AS S-ODNで24時間処理した結果、コントロールに比較して細胞移動度の有意な低下を示した。また、Tβ4 AS S-ODN処理でE-cadherinmRNA高発現を有意に認めた。さらに、Tβ4AS処理により同細胞の分泌Pro-Mmp2の活性低下を認めた。これらの結果より、歯胚形態形成において、Tβ4は細胞移動度およびtype IV collagen分解酵素であるMmp2分泌の調節に関わっているようだ。
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