2010 Fiscal Year Annual Research Report
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21592337
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
仙波 伊知郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60145505)
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Keywords | 口腔癌前癌病変 / 4NQO誘発ラット舌癌モデル / 遺伝子変異 / 遺伝子発現異常 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.発がんモデル動物による病変の作成は、昨年度は口腔癌好発ラット系統(DAラット)に4NQOを経口投与し、投与後180日までに舌癌および前癌病変を作成したが、今年度は、それに加え、初期の変化を検索するため、投与後2週から10週までの初期病変を作成した。また、肉眼的形態変化について、毎週、麻酔下で舌粘膜を撮影、観察することにより、経時的変化と共に、組織像と肉眼変化との対応が可能となった。 2.これまで、検索されてこなかった極めて初期にも舌粘膜に多くの変化が見いだされた。肉眼的には水疱形成やびらん・潰瘍などの急性の変化が第2週までに見られ、その後第4週までには自然治癒するが、組織学的変化、すなわち、角化亢進、上皮脚幅の拡大、基底細胞の核多型性、有棘細胞の核小体明瞭化が継続的に、また、進行的に認められ、炎症性あるいは反応性の変化と腫瘍性変化が混在すると考えられ、腫瘍性変化と炎症性変化の異同についての検索とともに、初期に見られる炎症が発がんに及ぼす影響についても、検討すべきであることが判明した。今後、発癌剤投与中断実験により、回復する変化と進行する変化を同定する予定である。 3.さらに、GSTp陽性病巣を見いだすことが出来た。陽性病巣では基底細胞核に異型が見られ、極めて初期の腫瘍性病変であると考えられた、今後、極めて初期の微小病巣におけるDNA修復系因子、細胞周期関連因子等の遺伝子変異や遺伝子発現について、組織標本上の微小部分の摘出により検索する。 4.また、舌背部粘膜の部位による発癌剤に対する反応性の差異も見いだすことが出来た。舌前方部と中央部までの舌背の糸状乳頭の組織構築と後方部の糸状乳頭の組織構築は異なっているが、この発がんモデルにおける浸潤癌の発生部位は後方部に多く見られる。今後、発癌過程の部位差を検索し、これまで不明であった発癌部位特異性因子を明らかにする。
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