2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21592337
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
仙波 伊知郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60145505)
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Keywords | 口腔癌前癌病変 / 4NQO誘発ラット舌癌モデル / 遺伝子変異 / 遺伝子発現異常 / RT-PCR / 免疫組織化学 / 病理組織形態 / DNA損傷修復 |
Research Abstract |
1.前癌病変のモデルの確立ができた。特に、広域発癌の動物モデルとともに、口腔扁平上皮における多段階発癌のモデルといえる。さらに、肉眼変化と組織変化との対応が可能であり、時期と部位による変化についても検討できた。 2.広域発癌における前癌病変は、隆起性の限局病変に対して、び漫性の背景病変として認められる。発がん剤の連続投与では、これらの変化は経時的に増強し、浸潤癌の発生まで多段階の過程を経る。一方、発がん剤の投与を中断すると、背景病変としての上皮異形成は、その程度が減弱するものの、現局性隆起病変は発生し、頻度は少ないものの浸潤癌も発生した。このことは、比較的初期の一定期間までの発がん剤曝露によってDNA変異が生じ発癌過程が始まること、また、連続投与によりDNA損傷が促進する事を示唆している。 3.前癌病変における発癌過程に重要な遺伝子変異として、DNA損傷修復に関与する因子を検索したところ、4NQOによって生じると考えられる様々な損傷機構の内、特に二重鎖切断修復に関与する因子の高発現を見いだした。これまで、4NQOにより生じるDNA付加体による損傷が大きな役割を果たすと考えられていたが、これに関連する因子の発現は低く、また、癌抑制遺伝子の発現も低く、前癌病変段階では、浸潤癌とは異なる発癌過程に重要な因子であることが示唆された。 4.これらの発癌の初期段階における因子について、遺伝子変異が生じているのか、発現制御の異常であるのか、塩基配列の変異解析等により確定を行い、また、組織形態変化との対応をより詳細に行い、前癌病変の診断に有用な形態変化を明らかにする。
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Research Products
(1 results)