2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体材料表面のバイオフィルムを構成する多糖ゲルの物性とクオラムセンシングの抑制
Project/Area Number |
21592499
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
根津 尚史 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40264056)
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Keywords | 生体材料 / バイオフィルム / 微生物 / 情報伝達 / 高分子構造・物性 |
Research Abstract |
バイオフィルムのモデルに見立てた高粘性ヒアルロン酸溶液について以下の成果を得た。 1. 抗菌性の塩基性界面活性剤添加によるヒアルロン酸溶液の粘性変化 種々の濃度比でヒアルロン酸と塩基性界面活性剤を混合した溶液について粘度とその温度依存性を調べた。ヒアルロン酸溶液の粘度は、(1)界面活性剤の添加により顕著に低下すること、(2)温度にあまり依存しないことが明らかになった。また、粘度の低下は濁りの増大と対応したことから、静電的に結合した界面活性剤が疎水相互作用によりヒアルロン酸を凝集させたと考えられた。 2. 高粘性のヒアルロン酸溶液中での色素性抗菌剤の拡散挙動 バイオフィルムに見立てた高粘性ヒアルロン酸溶液中で、色素性の抗菌剤であるアクリフラビンの拡散を光学的に調べる実験を行った。ヒアルロン酸濃度が低い(=低粘性)条件下で拡散が速かった。ヒアルロン酸相(層)の粘性を低下させる条件の検索が、抗菌剤の効率的な浸透に重要であり、上記1の成果が反映できることが示唆された。また、最終目標である擬似オートインデューサーの拡散測定にこの光学的方法が拡張・応用できる見通しが立った。 これらに加えて、水晶発振子マクロバランスを用いて、歯冠修復物に用いられる酸化物系材料表面への抗菌性界面活性剤の吸着と吸着層の粘弾性を解明する実験を行い、界面活性剤の吸着は、(1)静電引力の効果が大きい、(2)静電反発条件下に限りミセル状態で進行すると考えられる結果を得た。
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