2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人睡眠時無呼吸症候群患者に対する上下顎骨前方移動術の適用基準を確立する
Project/Area Number |
21592518
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
齊藤 力 Niigata University, 医歯学系, 教授 (80103357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正治 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80195792)
高田 佳之 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40313548)
泉 直也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10361908)
|
Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / 上下顎骨前方移動術 / 終夜睡眠ポリソムノグラフィ / 気道形態 / 睡眠時呼吸状態 |
Research Abstract |
下顎骨前方移動術を施行した下顎後退症患者を対象に、下顎骨前方移動術が気道形態と睡眠時の呼吸状態に及ぼす影響について検討した。対象は下顎骨前方移動術を施行した下顎後退症患者4名(男性1名、女性3名)で、手術時平均年齢が18歳、手術時平均BMIが19.6であった。手術は4例とも下顎枝矢状分割法と上顎LeFortI型骨切り術を施行した。顎顔面ならびに気道形態の変化については、術前、術直後、術後半年以上経過時に撮影した側面頭部X線規格写真を用いて分析した。睡眠時の呼吸状態については術前と術後半年以上経過時に終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)を施行した。その結果、ポゴニオンにおける手術時下顎骨移動量は前方に1.1mmから13.2mm平均5.1mm、上方に0.6mmから3.7mm平均1.9mmであった。咽頭気道径は術前が10.0mmから13.3mm平均11.2mm、術後が12.3mmから19.0mm平均14.2mmと全例で拡大していた。一方、PSGの結果では術前AHIが0.4回/時間から1.7回/時間平均0.9回/時間、術後AHIが0.4回/時間から2.2回/時間平均1.5回/時間と術前後ともに低い値を示し、睡眠時のSpO_2の低下も術前後ともにほとんど認めなかった。今回検討した下顎後退症4症例は年齢が比較的若く肥満を認めなかったことから、術前から睡眠呼吸障害の症状を認めなかった。しかし、下顎骨前方移動術を施行することによって顔貌と咬合の改善とともに気道径も拡大されたことから、加齢や肥満に伴う将来的な睡眠呼吸障害の発症リスクを少なくする効果も期待できると考える。
|