2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の浸潤・転移における上皮・間葉移行と細胞運動制御機構の解析
Project/Area Number |
21592554
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島末 洋 広島大学, 病院, 助教 (40335683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 伸之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70242211)
東川 晃一郎 広島大学, 病院, 講師 (80363084)
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Keywords | 口腔癌 / 上皮・間葉移行 / 癌の浸潤・転移 / 細胞運動制 / Rho |
Research Abstract |
本研究において,高度浸潤型(EMT型)口腔扁平上皮癌細胞株およびSnail誘導性口腔扁平上皮癌細胞株におけるCyr61の発現上昇を認めたことから,口腔扁平上皮癌細胞株にCyr61を強制発現させた細胞株を樹立し,分泌タンパクであるCyr61が口腔扁平上皮癌の浸潤にかかわるメカニズムを詳細に解析することを目的とした.このCyr61強制発現細胞はマトリゲルインヴェージョンアッセイ,ウンドヒーリングアッセイおよび再構築三次元培養法を用いて,これら細胞の集団的遊走による浸潤能の亢進と細胞走化性の亢進を確認した.そこでその細胞運動能亢進のメカニズムとして,RhoAの活性亢進機構とその下流分子の動態の詳細を調べた結果,Rho活性化調節因子GAP,GEFの発現変化を見出した.このシグナル伝達経路は,Cyr61発現細胞にオートクラインに作用することをCyr61のレセプターであるインテグリンを阻害するRGDペプチド処理による実験で明らかとなった.またEMT型癌細胞においてもこのCyr61が高度浸潤能に重要な役割を担っていることも明らかにした.さらに重要なのは,EMT型癌細胞が分泌するCyr61がnon-EMT型扁平上皮癌細胞にもパラクラインに作用することが想定された.そこで組み換えCyr61を扁平上皮癌細胞株に作用させると,それら細胞は同様の浸潤能亢進を認め,さらに細胞間接着を保ちながら集団的浸潤をおこなうことを見出し,実際の原発巣における浸潤像にこのモデルが適応できる可能性が示唆された.
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Research Products
(5 results)