2010 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下障害の確定診断と医療現場、介護現場を繋ぐ客観的嚥下障害診断法の開発
Project/Area Number |
21592582
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 教授 (40197140)
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Keywords | 嚥下障害 / 頸部聴診 / 嚥下時産生音 / 嚥下音 / 呼吸音 |
Research Abstract |
嚥下時産生音を利用した非侵襲的な不顕性誤嚥の診断法を確立するためには、嚥下造影検査時に正常嚥下や嚥下障害に伴って産生される嚥下音と嚥下前後の呼吸音を頸部より高精度に検出記録する必要がある。この時、従来の検出器を利用すると透視装置から発生される雑音や頸部に固定した検出器と衣類との擦過音などが雑音として検出されてしまう。そこで本年度は周囲雑音減衰機能を有する検出器を開発することを目的に遂行した。 【方法】実験1 擦過音減衰検出器の検証:作製した聴診システムは2つのマイクロホンから構成される.この聴診システムは,マイクロホンMic1とMic2を剛に隣接させ、衣擦れ音などの擦過音が両者に入力される仕組みを有している.また,Mic2は遮音材で遮蔽しているため,外部音響信号が入力されない構造を有し、擦過音のみが入力される。一方、Mic1には嚥下時産生音、透視装置雑音、擦過音が入力され、Mic1の出力信号からMic2の出力信号を差し引くことで擦過音が減衰されるシステムとした。本システムにパルス状の振動を与え,振動音を抑圧できるか検証した 実験2 透視装置雑音減衰検出器の検証:透視装置雑音を減衰するため,適応雑音除去アルゴリズムを導入した。Mic3で採取する検出目的音sに雑音信号nが重畳された場合に,Mic4で雑音信号nと相関が高い信号n0を採取できれば,適応信号処理技術により雑音信号を減衰し、検出目的音を抽出できるアルゴリズムである。透視装置雑音を模擬するために,音圧レベル100[dB]のホワイトノイズを用いた。 【結果】擦過音減衰検出器では、嚥下時産生音の音響信号が存在する20~1k[Hz]の周波数帯域において10~30[dB]程度減衰された。 透視装置雑音減衰検出器では外来騒音は100~1000[Hz]の周波数帯域において20[dB]程度減衰され,目的信号に近似した信号が抽出できた。
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