2011 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分泌性サイトカインによるダウン症患児の肥満と口腔内環境の連鎖解析
Project/Area Number |
21592599
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 登 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00230368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 和明 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90128067)
増田 啓次 九州大学, 大学病院, 講師 (60392122)
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Keywords | ダウン症 / 肥満 / アディポネクチン / 口腔内環境 / 齲蝕 / 歯周疾患 / トリソミー / 唾液 |
Research Abstract |
同意の得られた当院小児歯科外来受診ダウン症児30名(6歳~38歳)の口腔内診査および各種検査を行った。歯の先天異常歯数は2.1±2.4であった。口腔清掃状態は患児すべてにおいて不良であり、そのうち28名は明らかな歯肉炎を呈していた。しかし、そのうち7名は当科の加療により改善した。また、過去の報告と同様、本症例においてもダウン症児の大幅な萌出遅延により永久歯齲蝕が少ない(DMF:2.6±4.2)という傾向がうかがえる。 同患児の唾液pH・電解質分析をEX-Ca分析装置(常光社製)により行ったところ、健常児との比較ではNaおよびK値がやや高い傾向となっていたが、統計学的に有意差を認めなかった。このことは、唾液腺の導管および腺房細胞の代謝異常を示唆している。未刺激唾液を検体とした唾液緩衝能はやや低い傾向にあった。齲蝕リスク検査において、半数の患児のS.mutans菌数は低かったが、残り半数は高いレベルで検出された。そこで、当科では口腔ケアに抗菌剤、フッ化ナトリウムおよび歯石沈着抑制剤配合のジェルの使用を積極的に開始した。さらに当院では口腔疾患リスクの高い患者に対応する予防のためのツールとして3DS (Dental Drug Delivery System)を新たに導入した。実際、ダウン症児においても上記ジェルと同ツールの有効性が認められており、今後、同患児の口腔環境改善に役立てて行きたいと考えている。 さらに、本研究対象30名について、18歳を境にローレル指数とBMIを用いた肥満度の解析を行った。両者ともに標準値より高く、低身長に伴う肥満度が進行していることが証明された。さらに採取した同患児の唾液中のアディポネクチンレベルを測定し、健常児との比較を行った。しかし、両者間に統計学的な有意差は認められなかった。
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