2010 Fiscal Year Annual Research Report
口臭原因物質による破骨細胞誘導と歯槽骨吸収:その分子機構解析
Project/Area Number |
21592667
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
今井 敏夫 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (90120617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 貴俊 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10313529)
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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Keywords | 骨髄由来細胞 / 硫化水素 / 破骨細胞 / 情報伝達機構 / SMAD2/3 |
Research Abstract |
我々の一連の研究は口臭原因物質である揮発性硫黄化合物の歯槽骨に対する作用メカニズムの解明することを主目的とする。我々は揮発性硫黄化合物である硫化水素が骨芽細胞MC3T3-E1の増殖を阻害し、そのシグナル伝達はMAPKを介していることを報告した(J.Periodont.2009)。さらに、生理的濃度の硫化水素が破骨細胞様細胞株RAW264細胞の分化を促進することを明らかにした(J.Periodont,2010)。しかし、硫化水素による破骨前駆細胞から破骨細胞への分化機構、特にその情報伝達機構は未だ十分に明らかでない。初年度はマウス骨髄から分離した初代破骨前駆細胞に対する低濃度硫化水素の分化誘導条件を検討し、低濃度硫化水素はM-CSF(Macrophage-colony stimulation factor)の存在下で酒石酸耐性多核巨細胞の有意な発現誘導があることを観察した。そしてこの時にERK1/2,p38のリン酸化が強く現れることを見いだした。H22年度は細胞膜上の受容体との関連性を検索することを目的にTGF-β受容体の下流域にあるSMADについて検討したところ、破骨細胞の分化で重要な役割を担っているSAMD2/3のリン酸化が誘導されることを明らかにした。一方、SMAD1/5/8のリン酸化誘導は認められなかった。この結果は低濃度硫化水素による破骨細胞の分化誘導が細胞膜表面の受容体を介して情報を伝達している可能性を示唆するものである。さらに破骨細胞の分化誘導経路であるRANK,c-fmsとの関連性についても解明を進めている。また、硫化水素によって破骨細胞分化の転写因子であるNFAT1のリン酸化誘導の傾向が見られたので、その詳細も合わせて解析している。
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