2010 Fiscal Year Annual Research Report
生理学・バイオメカニクスの視点から分析する効率的な力発揮の介助動作の開発
Project/Area Number |
21592716
|
Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
藤内 美保 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60305844)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 康栄 鹿屋体育大学, 体育学部, 講師 (70318822)
|
Keywords | 力発揮 / バイオメカニクス / 生理学 / 関節角度 / 筋形状 / 介助動作 |
Research Abstract |
看護や介護の現場では、移動や体位変換ができない患者の日常的な援助で身体的負担が大きく、新たな観点から負荷の少ない介助動作が必要とされている。その観点の一つとして「生理学的・バイオメカニクス的観点」があり、筋収縮はアクチン-ミオシンの架橋形成によって成立するため、筋収縮前後の関節角度(アクチンとミオシンの重なりの度合い)が筋収縮力に影響するという点に着目し、介助者の身体的負担や力発揮の効率の変化を検証し、介助動作の提言を行うことが目的である。本年度は、介助動作を日常的に行っている看護師と介助動作を行ったことのない一般者を対象とした2つの実験を行った。平成21年度の実験では、上肢伸展時に110°の肘関節角度が最も効率がよく、上肢屈曲時は90°の肘関節角度が最も効率が良かった。これを応用し、動作A:上腕三頭筋を主動筋とし、臥床患者の肩部と腰部の下に上肢を伸展させながら入れる動作。動作B:上腕二頭筋を主動筋とし、患者の身体を手前に引き寄せる動作。動作C:上腕二頭筋を主動筋とし、90°で臥床患者の身体を枕(右)側に移動する動作。ABC動作は「理想角度」を指定する場合としないで比較した。結果、看護師群では各動作で有意差が見られたが、一般者群では有意差はいずれも認められなかった。看護師群の動作Aでは上腕三頭筋と上腕二頭筋の「理想群」の%EMGmaxが有意に小さかった。これは肘関節角度の違いで筋の形状が変化したことによると考えられる。また、看護師群の動作Bでは主動筋である上腕二頭筋では有意差はないものの、ほぼ全ての被検筋で「理想群」が「非理想群」の約半分の%EMGmaxであり、右の脊柱起立筋で有意に小さかった。これらのことより、介助動作における肘関節角度は伸展運動では110°、屈曲運動では90°に近い理想的な角度にすることで主動筋である上腕三頭筋や上腕二頭筋の負担が軽減し、脊柱起立筋や僧帽筋の負担も軽減できる。
|