2011 Fiscal Year Annual Research Report
下降期高齢慢性病者の終末を見据えた包括的セルフケア支援の質評価指標の開発
Project/Area Number |
21592743
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
谷本 真理子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 准教授 (70279834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 良之 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (50372355)
高橋 良幸 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (30400815)
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Keywords | 看護学 / 慢性病 / 高齢者 / セルフケア支援 / 質評価 |
Research Abstract |
下降期高齢慢性病者のセルフケア支援の質評価指標の抽出に向け、よりよい方向に向かっていく患者の体験と患者自身のよりよい状態を目指して支援する看護師のケア技術を分析した。 1.自分自身にとってよりよい状態に向かう患者自身の在り方を、10名の下降期高齢慢性病者のインタビューから質的帰納的に分析した。その結果、(1)運命や生き方を見定め、定めに従う、(2)身体状態変化によって必要性に迫られた療養をこなす努力と妥協を織りなしていく、(3)身体状態悪化に伴い現実化した苦痛と死を受けとめ引き受け対処する、(4)家族や周囲の人から療養の助けを得、関係を保って居場所を整える、(5)不安定な状況にある自分の心を凌いでいく、(6)人生の終わりを意識し準備する、が抽出された。終末に至る過程を高齢慢性病者は、状況を自己の運命の定めと受容する一方で、自己の生き方の実現に向けた努力を併せて、納得のいく終末への備えを行っていることが示された。 2.患者自身の在り方がよりその人にとってよい状態に向かうことを支えるケア技術を、7名の病院に勤務する慢性疾患看護の熟練看護師の実践知から質的帰納的に分析した。その結果、人としての生命と尊厳を守るケア技術として<患者の姿が最期まで人間らしく維持できることを支える技術>他、(2)機能が低下している患者の生の充実を支えるケア技術として<絶えない悪化を体験している患者の価値を尊重する技術>他、(3)悪化している患者の生活調整に応答していくケア技術として<患者の悪化する身体の違和感を手がかりに、死を見通す今に対峙し応答する技術>他、(4)患者・家族の主体性の発現を支えるケア技術として<応答を通して患者の身体と心の脆弱さを発見し、補完し補強し支える技術>他、(5)状態悪化の過程にある患者の意思を周囲に浸透させるケア技術として<家族内に患者の意思を疎通させ、状態悪化に備え/対応する技術>他、(6)患者像を鮮明にしてチームで支えるケア技術として<苦境を乗り越えることをチーム全体の流れの変化と凝集力を作り出して支える技術>他が抽出された。
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