2011 Fiscal Year Annual Research Report
長期療養中の糖尿病患者の口腔衛生行動を支える効果的な看護介入方法の検討
Project/Area Number |
21592752
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
桑村 由美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90284322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南川 貴子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20314883)
田村 綾子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10227275)
市原 多香子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10274268)
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Keywords | 糖尿病患者 / 看護 / 口腔衛生行動 / 長期療養 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔機能の保持と感染予防のために長期療養中の糖尿病患者(以下、患者)がセルフケア行動の一部として口腔衛生行動を実施できるように支援するための効果的な看護介入方法を検討することである。まず、第一段階として、患者が口腔と口腔衛生行動に対してどのような考えをもっているかを明らかにする必要がある。本年度は昨年に引き続き質的データの分析を緻密に継続した。本稿では糖尿病と歯周病の関係についての情報を得たことへの受け止め方についての結果を示す。対象者は30歳代~60歳代の有歯顎の男女5名(平均HbAlc(NGSP)値7.6%)で、1名が部分床義歯装着中であった。以下、<>はサブカテゴリー、《》はカテゴリーを示す。分析結果から<知識の必要性>や<理解の難しさ>など《糖尿病と歯周病が関係することに対する知識の吟味》、<糖尿病が歯に及ぼす影響への心配><歯の状態が及ぼす糖尿病治療への影響>など《糖尿病と歯が関係することで自分の生活に具体的に生じる影響の思案》、<血糖値の変化が口腔内・歯肉の状態に影響することを実感><糖尿病があると歯の治療が大変なことを実感>など《糖尿病と歯のつながりを実際に体験した実感》、《糖尿病と歯についてこだわりすぎない配慮》、《糖尿病と歯周病が関係することへの無関心》が明らかになった。患者は糖尿病と歯周病の関係についての情報の必要性や有益性を吟味したり、その意味を解釈し具体的な場面を予測・思案したりすることでセルフケア行動へと役立てていた。また、情報を実感として納得している患者がいる一方で、全く関心を示していない患者もいた。以上より、糖尿病と歯周病の関係について患者は情報の受け止め方が様々であることを理解し個別の背景を知って看護支援することの必要性が示唆され(第17回日本糖尿病教育・看護学会学術集会演題登録中)、糖尿病患者の口腔衛生行動支援にむけて意義ある成果が得られており次年度も継続予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質的データの分析には膨大な時間がかかると一般にいわれおり、分析に対してどのくらいの時間が必要であるか、自分の力量と行う作業量およびエフォートの中の可能な作業時間を見据えることに力が及ばなかったことが原因と考える。しかし、分析にあたってはできるだけ対象者が語った内容の意図を忠実に研究結果として示すことができるように、つまり、データの信憑性(trustworthiness)を高める(Lincoln & Guba, 1985)ために、分析の過程で質的研究の経験者からスーパーヴァイズを受け、分析内容についてのディスカッションも丁寧に行い時間がかかってもデータに忠実な結果が導き出せるように努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
質的データの分析にあたっては、次年度からは質的研究経験のある研究者が研究分担者として加わる予定である。次年度は、本年度の結果をもとに、質問紙を作成し、幅広く、糖尿病患者の口腔と口腔衛生行動について調査を行うことで、糖尿病患者にとっての口腔衛生行動の実態を明らかにすることを目指す。同時に、糖尿病でのセルフケア行動や心理状態との関連についても検討することにより、糖尿病を持った人に対する口腔衛生行動支援のための看護介入方法案の作成へとつなげていく。
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