2011 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄県におけるがん患者の在宅療養支援ネットワーク構築に向けた包括的調査研究
Project/Area Number |
21592759
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
照屋 典子 琉球大学, 医学部, 助教 (10253957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 洋子 国立大学法人琉球大学, 医学部, 教授 (00196908)
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Keywords | がん看護 / 在宅緩和ケア / 在宅療養移行 / 終末期がん患者 / 退院支援 |
Research Abstract |
【目的】沖縄県内在宅がん患者の在宅看取り率が高い2か所の訪問看護ステーションにおける看護実践の現状を明らかにすることにより、在宅緩和ケア推進に向けた看護支援の連携モデル構築への示唆を得ることを目的とした。 【方法】年間平均約20例にわたるがん患者の在宅での看取りを行っている訪問看護ステーション2か所に所属する訪問看護師16名を対象とし、半構成的面接調査と終末期がん患者6例の訪問看護同行による参加観察を実施した。倫理的配慮として、当大学の臨床倫理審査委員会の承認を得た上で、施設長と対象者へ研究主旨と方法を文書で説明し、署名による同意を得た。また、訪問看護の同行においては、所長より訪問看護の利用者へ本研究の主旨を説明し、同意を得て行った。面接内容は対象者の承諾を得て録音した。逐語録、参加観察記録から看護支援内容や心がけている事柄、並びに在宅緩和ケア推進に関連した環境要因等を示す文脈を抽出し、コード化、カテゴリー化を行った。 【結果】対象の平均年齢は44.1歳、看護経験年数は平均19.7年、平均面接調査時間は50.7分であった。逐語録、参加観察記録より看護支援内容を示す220コード、ケア時心がけている事柄74コード、在宅緩和ケア推進に関連した環境要因34コード、今後の課題を示す42コードが抽出された。看護支援内容には<本人・家族の病状理解の確認><予測される病状変化の説明><在宅療養継続・看取りに対する要望・覚悟の確認><在宅医療へのアレンジ><細やかな症状観察と苦痛緩和><看取り支援>等が含まれ、また往診医との連携では<病状アセスメントの報告><事前の指示確認や往診依頼>等が含まれていた。ケア時心がけている事柄には<本人・家族の力を信じる><他者の意見を取り入れる><ユーモアを交えた対応>等があり、看取りまでの在宅緩和ケア推進に関連した要因には<往診医との連携体制><家族の病状理解し受け止めている>等がみられた。今後の課題では<病院スタッフが在宅医療に関心をもつ><往診医のサポート体制><訪問看護師に対する評価・保証>等が含まれていた。 【結論】訪問看護師は、最期まで在宅療養を希望する利用者やその家族に対し、予測される病状変化を説明しつつ在宅療養の継続や看取りに対する要望の確認を行っていた。また常に病態予測をしながら往診医と連携して苦痛緩和を行っており、これらの支援が家族の病状理解を促し、在宅での看取りを促進する結果につながっていた。今後、さらに沖縄県内でがん患者の在宅緩和ケアを推進するためには、在宅医療を担う往診医のサポート体制の整備や、人員拡充に向けた訪問看護師に対する評価の改善、経済的な保証についても検討していく必要性が示唆された。
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