2010 Fiscal Year Annual Research Report
外来化学療法を受けるがん患者の「生きる意味」への看護
Project/Area Number |
21592767
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
牧野 智恵 石川県立看護大学, 石川県立看護大学看護学部, 教授 (60161999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩城 直子 石川県立看護大学, 看護学部, 講師 (60468220)
加藤 亜妃子 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (30553234)
洞内 志湖 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (30423833)
木村 久恵 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (90347360)
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Keywords | 外来化学療法 / がん患者 / PILテスト / 生きる意味 / 看護 |
Research Abstract |
【研究目的】日本語版PILテストを、化学療法を受けるがん患者に実施し、その内容を元に患者と共に相互的対話を行うという看護介入によって、彼ら(彼女ら)のどのような人生観の特徴を導き出せるのかを明らかにする。さらに外来化学療法におけるスピリチュアルな側面における看護、つまり「意味の転換」への援助について検討する。 【研究経過】平成23年3月までに、31名の外来化学療法を受ける患者にPILテスト(1回目面接)の実施と、2回目の面接を10名に実施した。男性6名、女性25名(平均年齢51.7±11.9歳。【PILテストの結果】Aの平均値は100.2±20.8点、標準得点(T値)は49.4±11.9。B・Cの平均値は57.2±11.0点、T値は57.3±12.3であった。A、B・Cと背景因子(性別、結婚、仕事、治療内容、罹患年数、手術)のt検定ではいずれも有意差がなかった。AとB・Cの対応のあるt検定結果では、B・Cが有意に高くなっていた(p<0.001)。外来患者と健康な成人(佐藤ら、2008)のAを比較したところ、「もし今日死ぬとしたら、価値のある人生だった」「私は、人生に使命と目的を見出している」は外来患者が有意に高く、「私の人生は自分でやっていける」「私はふだんはりきっている」は有意に低かった。外来患者は、過去の人生を価値あるものと捉え、使命感をみいだしている一方、治療に制約された生活の中ではつらつと感覚を味わっていない様子が伺えた。一方、テストB/Cの記述の分析の結果、PIL-Bでは、『私の人生は』;〈幸せだった〉〈平凡〉〈病気以外はよかった〉〈受け入れられない〉、『最高の望みは』;〈治癒〉〈家族の幸せ〉〈夢の実現〉〈穏やかな死〉、『死は』;〈いずれくるもの〉〈怖い〉〈受け入れがたい〉、『病気や苦しみは』;〈嫌なこと〉〈仕方ないこと〉〈悪いことばかりではない〉などのカテゴリーがみられた。PIL-Cでは、『生きていく上でどのような目的・目標・希望がありますか』;〈他者の幸せのために生きる〉〈仕事〉〈自分らしい・普通の人生を生きる〉〈治療/長生き〉〈見あたらない〉のカテゴリーがみられた(『』は質問内容、〈〉はカテゴリー)。外来患者が、家族や自己の夢の実現のために治癒への希望を抱きながらも、病気や死の意味、過去や未来の人生の意味をそれぞれに見つめはじめている様子が窺えた。対象者から「これまでの人生を考えるきっかけとなった」などの意見があり、外来でPILの実施を行うことが、早期の心のケアにもつながると考えられる。
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