Research Abstract |
【目的】後ろ向き調査で低出生体重児の出生と関連が強かった妊娠中のストレスと体重管理に焦点をあて,妊婦の日常生活と心の健康自己評価質問紙(WHO)を前向きに調査し,出生体重との関連を分析する。 【方法】(1)調査対象と方法:H21年度~H23年度までの妊婦を対象に,A施設のみで,選出基準にあった妊婦の初期(妊娠第15週まで)・中期(16-27週).末期(33-34週),出生,までを前向きに追跡し,妊娠の各期に心の健康自己評価質問紙および妊婦の生活(ストレス,生活習慣,社会支援など)について,無記名自記式質問紙調査を行った。児の出生体重,出生週数,出産直前の体重は病院よりまとめてデータを得,暗号化された調査票と照合した。12)分析:調査票は698名の有効回答を得た。病院より得られた出生体重関連のデータは673名であり,最終的に,暗号化された妊婦の調査票と出生体重が一致した381名を体重群別,妊娠期別に分析した。それらの対象数は(低出生体重児(L群:41名),正常体重児群(N群:340名)であった。体重群別,妊娠期別(初期-L群:9名,N群:92名),(中期-L群:16名,N群:118名),(末期-L群:16名,N群:128名,N:2名は妊娠期日が不明)に体重管理,心の健;康自己評価と妊婦の生活(生活習慣,ストレス自覚,ソーシャルサポート,満足度など)を横断的に比較した(Wilcoxn検定)。 【結果】両群に,年齢,身長,職業の有無では,統計的有意差はみられなかった。(1)両群のBMI(Body Mass Index)を「妊娠前」,「前期」,「中期」,「末期」,「出産直前」の時期別に比較すると,すべて,L群がN群より有意に低値を示し,N群のBMIは妊娠3期の進行と共に増加する(p<.05)が,L群は有意な増加はみられなかった。(2)心の健康度と心の疲労度は,両群に差はみられなかった。しかし,L群は,妊娠前期においてサブ項目のうち「近親者の支え」「社会的な支え」「社会的つながり」の自覚は,N群より有意に低値であった。3)妊娠中の生活では,N群は妊娠3期の進行とともに,ブレスローの7つの生活習慣,生活満足度は増加したが,L群はそれらの変化はなかった。両群とも日常ストレス,妊娠ストレスおよびソーシャルサポートなどの差はみられなかった。 【考察】低体重児出生に及ぼす影響は,妊娠初期に近親者や社会支援および人間関係のつながりの不足感,さらに,妊娠前から出産までの体重増加の変化が少なく,妊娠に適した生活習慣の行動変容の不足との関連が示唆される。
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