2009 Fiscal Year Annual Research Report
へき地保健医療計画における公平なアクセス改善を評価する指標の開発
Project/Area Number |
21592854
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
波多野 浩道 Kagoshima University, 医学部, 教授 (50164851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 慎平 鹿児島大学, 医学部, 講師 (80363612)
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Keywords | へき地保健医療計画 / アクセス / 中山間地域 / 孤立小型離島 / 群島属島 / サービス利用度 / 標準化 / Potential Spatial Accessibility |
Research Abstract |
へき地保健医療計画の目的は、一義的には公平なヘルスケアへのアクセスを達成することにある。しかし、これまでへき地保健医療計画策定の方法論には、評価の指標が定まっていなかった。そこで、ヘルスケアへのアクセスを利用可能性と利用度により評価できる指標を開発援用することが本研究の目的である。調査対象地域は中山間地域として2地区を、離島として孤立小型については、同一村の7島を、群島属島については3島を、本土近接型としては2島を対象とした。尚、次年度以降の調査対象地域の検討のため、孤立大型の2島での予備調査も実施した。本年度は、まず既存資料の収集により、へき地医療対策の推移と現状を把握した。供給側については、へき地間で異なるへき地保健医療計画の考え方、医療の質、機能、システムの統合性など質的評価指標を探索するエスノグラフィー手法を用いた半構造的面接調査を行った。需要側については、本年度は既存資料を収集・加工することで、サービス利用度の測定を行った。医療サービスについては、国保レセプト統計により標準化受療比(SMoR)を、保健サービスについては、特定健診受診率から標準化受診率比を、介護サービスについては、介護保険給付の統計から、標準化介護給付額を、それぞれ算出した。介護サービスでは、標準化介護度も同時に算出し、標準化介護給付額を補正する改良を加えた。医療サービスでは医師不在時の看護活動が反映されないこと、保健サービスでは行政サービス以外が反映されないこと等があることから、利用度指標の課題が明らかになった。Potential Spatial Accessibilityモデルによる利用可能性の計量については、交通事情、定期船等の運行回数、医師派遣回数等をどのように重みづけるか、さらには受療行動には歴史的に形成されてきた要素もあると考えられるので、その点は次年度の調査により精緻化したい。
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