2011 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・嚥下機能低下がみられた脳血管疾患患者への介護予防のための前向き介入研究
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21592878
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
馬場 みちえ 福岡大学, 医学部, 准教授 (60320248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畝 博 福岡大学, 医学部, 教授 (40122676)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 准教授 (90291822)
喜久田 利弘 福岡大学, 医学部, 教授 (50153044)
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 講師 (30320287)
兼岡 秀俊 福岡大学, 医学部, 教授 (20161169)
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Keywords | 嚥下訓練 / 脳卒中 / サーカディアンリズム / アクチグラフ / チーム医療 / 退院指導 |
Research Abstract |
平成23年度は、まず脳卒中後重度の摂食嚥下障害を呈した患者の摂食嚥下リハビリテーション介入方法の経過を症例報告した。症例は59歳男性で、延髄内側梗塞を発症し、急性期病院に入院した。麻痺を伴なわず重度の嚥下障害を呈していた。嚥下反射惹起困難であり、喉頭挙上不全や食道入口部開大不全が認められた。発症から約一か月後回復期病院へ転院し、嚥下機能評価にて直接的嚥下訓練の適応ありと判断された。そのことを軸に、患者を含めた医療スタッフ全体によってPDCAサイクルを用いて回復期病院で約2ヶ月半「嚥下機能改善訓練プログラム」を実施した。その結果、食道入口部の開大不全が改善し、自力で常食を経口摂取となり、自宅退院となった。今回の本症例により、脳血管障害によって重度の嚥下障害を呈しても一定期間かつ十分な摂食・嚥下リハビリテーションを実施することで改善する可能性があることを報告した(馬場みちえ他、重度嚥下障害がリハビリテーションによって経口摂取可能に回復した脳幹部内側梗塞の一例、健康支援学会2012、印刷中)。 次に平成22年8月から23年8月まで急性期病院に入院した30人の脳卒中患者をリクルートし、Actigraphを使って生活活動量の測定と嚥下機能測定、精神的健康を調査することで回復過程の観察を行った。平均年齢66.2±13.5(男16人、女14人)であり、脳梗塞26人、心原性脳梗塞2人、脳出血2人であった。嚥下機能低下患者は10人にみられたが、嚥下チーム介入によって退院までに9人の改善みられた。NIHSSは入院時2.0、退院時1.1となりmRsも入院時1.8から退院時1.3、退院時Barthel indexは92.9±17.7であり、ほぼ70%の人が軽症患者であり、自宅退院できた。なお取得できたActigraphデータは1人当たり平均12.9日(5日-28日)であり、1日平均活動時間は87.8分、覚醒時間735.1時間、睡眠時間576.4時間であった。発症直後1日以上のせん妄がみられた人が14人いた。今後、脳卒中患者のサーカディアンリズムをスペクトル解析、MemCalc法などを用いて解析をすすめ、せん妄有無による違いを比較上し、介入方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年8月から23年8月まで1年間急性期病院に入院した脳卒中患者35人を追跡できた。そのうち有効データが30人であった。脳卒中後に重度の嚥下障害を起こした患者について回復期病院での嚥下訓練について症例報告行うことができた(印刷中)。現在アクチグラフデータがそろっており、サーカディアンリズムと脳卒中発症直後のせん妄状態との比較を検討するためにスペクトル解析を検討中である。このことによって脳卒中状態とリハビリ訓練開始時期、あるいは脳卒中直後におけるせん妄看護の必要性を明らかにできると考えている。これは昨年度国際学会で発表を行ったので、今年度はデータをさらに分析し、論文化を考えている。順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1年目の研究で急性期病院の脳卒中患者は1年間に80人ほど入院していたが、病院組織の改編が行われたことで、当該診療科目で脳卒中患者が減少してきた。そのため昨年1年間で対象者数は30人と少なかった。しかし、脳卒中発症直後から患者と関わることができたため、せん妄との比較が可能となり、貴重なデータが得られている。また、急性期病院での嚥下介入に関しては、嚥下リハビリチームが稼動し始めており、そこに関わっている。 入院時のリハビリによって、退院後にも状態が継続できているかどうか不明であるため、今年度は退院後の予後調査も行い、リハビリ介入についての考察を深める予定である。
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Research Products
(1 results)