2009 Fiscal Year Annual Research Report
入院中の高齢者のせん妄発症にかかわる環境因子のリスクコントロール
Project/Area Number |
21592906
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
粟生田 友子 Niigata College of Nursing, 看護学部, 教授 (50150909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 峰子 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (70398353)
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Keywords | 高齢者 / せん妄 / 環境因子 / リスクコントロール |
Research Abstract |
本研究の目的は、入院中の高齢者のせん妄発症にかかわる環境因子をコントロールするための看護ケアのスキルを開発することである。そのため、(1)先行研究に基づく物理的・人的な環境因子をより詳細に特定し、(2)その環境因子に対して高齢者が示す心理杜会的な反応を判断できる観察視点を明確にし、(3)病床環境とその環塊に対して高齢者が示す心理的な反応から発症リスクを予測し、環境によるリスクを軽減する具体的方法を提示することを課題としている。 平成21年度においては、入院環境に対する高齢者の認識に関して、リスクコントロールに先立ち調査用質問紙の開発のため、高齢入院患者およびせん妄症状を示した患者を対象に、面接法により入院初期の時点と、手術後1週間程度経過した時点で、環境認識について語ってもらい、その質的データの分析を行った。研究対象は、便宜的に抽出した施設3施設(北海道、穎潟、東京)から、一般病院に入院する75歳以上の高齢者とし、研究チーム6名により、面接を行った。 その結果、せん妄発症因子としての物理的環境要因(音、光、色、ベッドなど)に対しては、【気になる】【気にならない】が対極にある環境認識としてみられ、【気になる】とする背景因子に【病状としての痛み】【治療や病気の心配】【生活や家族の心配】など複数因子抽出され、人的要因(ケア提供者や家族など)に対しては、【安心感・信頼感がある】が認識の中心にあり、【医療スタッフのいつでも来てくれる感覚】【人としての距離感】などが抽出された。またせん妄症状を示した対象の体験では、【現実とは異なる感覚】が個別に表現され、語られた体験には発症前の【気がかりなこと】が反映されていた。 今後、研究結果をもとに質問紙を作成し、環境リスクに関する認識を調査し、量的データにより現実の入院環境との関連を明らかにしていく。本成果は、22年日本老年看護学会に発表予定である。
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