2009 Fiscal Year Annual Research Report
小離島における高齢者の在宅終末期ケアシステムの開発
Project/Area Number |
21592921
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
大湾 明美 Okinawa Prefectural College of Nursing, 大学院・保健看護学研究科, 教授 (80185404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 美和子 沖縄県立看護大学, 大学院・保健看護学研究科, 学長 (10070682)
佐久川 政吉 沖縄県立看護大学, 大学院・保健看護学研究科, 講師 (80326503)
田場 由紀 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (30549027)
伊牟田 ゆかり 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助手 (00588824)
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Keywords | 離島 / 終末期ケア / 自宅死 / 看護専門職 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小離島における高齢者の在宅終末期のケアシステムを看護専門職者の役割機能の再考と住民参加により開発し、過疎化、高齢化の進行する医療過疎地域にも貢献することである。 平成21年度の研究計画は、沖縄の小離島における高齢者の死亡場所の現状とケア提供者の実践を把握し、「過去」の終末期ケアにおける看護職者の役割機能を明らかにすることであった。 死亡場所の現状について、既存の資料で整理した。自宅死と病院死の割合が逆転したのは、全国は昭和50年~54年、沖縄県は昭和53年~54年、沖縄県離島は昭和58年であった。沖縄県や沖縄県離島は、数年のズレはあるが、ほぼ同様の傾向で病院死が増加し、自宅死が減少していた。沖縄県離島における自宅死の割合は、沖縄県と比較して、本土復帰直後の昭和48年以降10~20%程度自宅死が多く推移してきたが、ここ数年はその差が縮まっている。島別の自宅死の推移をみると、宮古島が自宅死の割合が高い。沖縄県小離島(伊是名島、伊平屋島、伊江島、渡嘉敷島、座間味島、渡名喜島、粟国島、南大東島、北大東島、多良間島、竹富町の島々、与那国島)においては、過去5年間で自宅死が存在していた。しかし、伊平屋島、渡名喜島、北大東島の3島の自宅死は、過去5年間で1~2名であった。 本土復帰前の自宅死の現状と看護職者の役割に関する検討では、自宅死の多かった宮古島の退職看護者に面接した。自宅死につながるのは、「家族は、自宅で死にたいという本人の希望を叶えることと、自宅外で死亡すると、死後に死亡場所で≪拝みごと≫をすることや特殊の≪神行事≫をしなければならないので自宅死を希望する」と語っていた。また、看護職者は、医師の確保の困難な時代で、「生きる命」には真正面から向き合ったが、「死ぬ命」には向き合って来なかったと語り、在宅終末期ケアには携わっていなし、その必要性も意識していなかったと語った。
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