Research Abstract |
本研究の目的は、認知症高齢者の介護準備状態にある家族介護者(以下、家族介護者)の介護意欲を向上・維持し、認知症高齢者ケアの質の向上につなげるために、家族介護者を対象にした研修モデルを開発し検証することである。 本年度は、以下の2つの計画を実施した. 【計画1:研修プログラムの開発・試行】前年度の調査結果をもとに,研修プログラムを作成し試行した.認知症に関する講演会に参加し,本研修プログラムに参加希望のあった7名を対象に,2010年4月~7月に計4回,A大学で実施した.プログラム内容は,認知症の病気の理解と診断,ストレスとストレスマネジメント,認知症者とのコミュニケーション,施設見学である.対話を多く取り入れた参加型の形式で実施した.加えて,同じ東洋の文化的背景を持つ中国の研究者との情報交換の機会を設け,研修プログラム開発に役立てた. 【計画2:介護家族者の集いの場作り】前年度の調査結果から介護に伴うストレス緩和につながる家族介護者の集いの場作りの構想ができ実施した.B市C介護老人保健施設の1室を借り,2010年4月から月2-3回平日午後,定期的に開催した.開催から現在まで,取り組みを周知してもらう過程にあると考え,参加者を家族介護者のみに限定せず,入所高齢者やデイケア利用高齢者,施設職員などの参加も促し実施した.そのため,認知症高齢者本人と付き添い職員の参加が圧倒的に多かった.高齢者本人に付き添い参加する家族,職員に勧められ参加する家族,施設の近隣の高齢者など,参加者が徐々に増えつつある.今後,評価のためのインタビュー調査を実施していく予定であるが,家族介護者からは,高齢者本人の参加を見聞きすることが安心につながるとの反応があり,間接的な形でストレス緩和につながっていることが考えられる.
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