2011 Fiscal Year Annual Research Report
損傷神経に誘導される新規蛋白がイオンチャネル活動調節・痛み情報伝達に果たす役割
Project/Area Number |
21600002
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横山 茂 金沢大学, 医学系, 准教授 (00210633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 弘明 金沢大学, 保健管理センター, 教授 (10272981)
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Keywords | 神経損傷 / イオンチャネル / 痛み |
Research Abstract |
成体ラットの左坐骨神経を切断後3-7日後に近位側断端でmRNAレベルが上昇する糖タンパクnmb(glycoprotein nonmetastatic melanoma B、以下Gpnmb)の検討を進めた。Gpnmbカルボキシ末端の15アミノ酸に相当する合成ペプチドをウサギに免疫し特異的な抗体を作製し、免疫ペルオキシダーゼ染色を行った。Gpnmb様免疫反応陽性(以下Gpnmb陽性)細胞は脳実質に広汎に観察され、特に海馬歯状回、小脳皮質、脳室脈絡叢、脳室上衣、脳室近傍周囲で高頻度に認められた。また、脊髄後角I-II層にもGpnmb陽性細胞が認められた。蛍光二重染色を行ったところ、これらのGpnmb陽性細胞の大部分はミクログリアとマクロファージのマーカーであるOX42あるいはイソレクチンB4陽性であった。また低頻度ではあるがGpnmb陽性細胞のなかには、放射状グリア細胞のマーカーであるRC2あるいはニューロンのマーカーであるNeuNと同時陽性であるものも含まれていた。星状膠細胞のマーカーであるグリア線維性酸性タンパクあるいはS-100βタンパクがGpnmbと同時陽性となる細胞は認められなかった。さらに、成体ラットの腹腔内に大腸菌の菌体内毒素であるリポ多糖を注射した全身性炎症モデルを作製したところ、8から24時間後にかけて脳室周囲器官群の一つである最後野にGpnmb・OX42同時陽性のマクロファージ様細胞の浸潤が観察された。これらの結果から、Gpnmbは正常神経組織にも発現しており、さらに中枢神経系の炎症・免疫反応の調節因子としても機能することが示唆された。
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Research Products
(4 results)