2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性および神経障害性疼痛におけるCCL3、CCR5の関与
Project/Area Number |
21600011
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
仙波 恵美子 Wakayama Medical University, 医学部, 教授 (00135691)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / DRG / Seltzerモデル / マクロファージ / Arginase-1 / CD163 / サイトカイン / IL-10 |
Research Abstract |
神経障害性疼痛の発症にはミクログリアやマクロファージが関わることが示唆されており、神経障害性疼痛の動物モデルの坐骨神経部分結紮モデル(Seltzerモデル)マウスでは、後根神経節(dorsal rootgauglia ; DRG)にマクロファージの浸潤が認められることが報告されているが、そのマクロファージの詳しい機能種や役割は分かっていない。そこで本研究では、神経障害性疼痛の病態時のDRGにおけるマクロファージの役割を解明するため、Seltzerモデルマウスを用いて、マクロファージの誘導性の検討および機能種の検討を行った。 結紮後3日のSeltzerモデルマウスのDRGにおいて、一部のニューロンに、傷害されたニューロンのマーカーであるactivating transcription factor 3(ATF3)の発現が認められた。また、結紮後3目に傷害側の脊髄後角でミクログリアの有意な増加が認められた。さらに、脊髄後角のミクログリアの増加よりも早い結紮後2日に傷害側のDRGでマクロファージの有意な増加が認められた。さらに、このマクロファージの機能種を検討したところ、M2aマクロファージにあたるArginase-1(Arg-1)、CD163陽性のマクロファージが多く認められた。 今回、Seltzerモデルマウスの脊髄後角においてミクログリアの数が増加すること、DRGでマクロファージの数が増加し、さらにそれらのマクロファージの多くがM2aに分類されるものであるということを示した。M2aを誘導するIL-4、IL-13やM2aが分泌するIL-10は、炎症性サイトカインの分泌を減少させることから、神経障害性疼痛の症状の抑制に重要な役割を果たしている可能性があると考えられる。
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