2010 Fiscal Year Annual Research Report
セリン・スレオニンプロテインホスファターゼ阻害剤の開発
Project/Area Number |
21603015
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
宮下 和之 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (10166168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池尻 昌宏 大阪大谷大学, 薬学部, 講師 (00412396)
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Keywords | プロテインホスファターゼ / 阻害剤 / シグナル伝達 / 酵素 |
Research Abstract |
今年度の計画として、前年度に確立したマラカイトグリーンを用いる簡便なアッセイ系を利用して、PP1およびPP2Aに対する選択的な基質の探索を行った。 基質候補化合物としては、既に報告されているPP1およびPP2AのX線結晶構造解析データおよびフォストリエシンおよびその類縁体のアッセイ結果から得られた構造活性相関データ、さらに合成の容易さを考慮し、リン酸化セリンを反応中心として、鎖長の異なる末端修飾アルキル鎖をアミド結合により結合した一群の化合物を設計した。合成に関してはリン酸化セリンを出発原料として検討を行った。その結果、一連の化合物は、TLC上、様々な呈色試薬に対して非常に感度が低く、当初、精製に困難を極めたが、合成経路の改良や適切な保護基への改良により、アッセイに十分な純度の化合物を合成することに成功した。合成した一連の化合物について、PP1およびPP2Aに対する基質となり得るか検討を行った結果、PP2Aの選択的基質となる候補化合物として設計した化合物は、残念ながら所定の目的を達することはできなかった。一方、PP1の選択的基質に関しては、当初の予想通りPP2Aでは加水分解されないが、PP1に対しては中程度のKm値で加水分解されるPP1選択的基質を見出すことに成功した。また、一連の化合物のアッセイ結果により、PP1選択的基質となるための構造と活性の相関に関してもある程度の知見を得ることができた。 来年度は、PP1選択的基質に関する構造活性相関についてさらに詳しく検討を行い、より選択的なPP1選択的基質へと改良を行うとともにPP2Aに対する選択的基質の探索を進める。また、今回得られたPP1選択的基質のリン酸エステル構造を「切れないリン酸エステル」へと変換することにより、PP1選択的阻害剤の開発を目指す。
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