2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハーモニック加速電圧を用いたサイクロトロンの新たな加速手法の研究
Project/Area Number |
21604004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 光宏 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (60370467)
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Keywords | ハーモニック加速電圧 / サイクロトロン / M/Q分解能 / 共振空洞 |
Research Abstract |
従来のサイクロトロンでは困難であった、加速イオンの質量数と価数の比(M/Q値)の差が1/3000以下の異種イオンを分離し、最大価数のフルストリップイオン(質量数と価数の比がほぼM/Q≒2のイオン)を加速して本来サイクロトロンが有する最高性能(最大エネルギーでの加速)を発揮させるため、サイクロトロンの正弦波型基本波電圧に、その3倍及び5倍の周波数のハーモニック電圧を重ね合わせた加速電圧波形を生成し、M/Q値の差が1/3000以下の異種イオンが減速され易いRF位相で加速してサイクロトロンのM/Q分解能を従来の10倍以上に向上させ、世界最高のM/Q分解能の達成を目指している。本研究では、従来技術では実現されていない、加速電極に3倍及び5倍のハーモニック電圧を同時に発生させる新しい共振空洞システムの要素開発研究を目的としている。 H22年度は、3λ/4励振モードの定在波利用した基本波加速周波数の3倍や5倍などの整数倍の周波数のハーモニック電圧を発生させる共振空洞の形状・構造、結合位置などを3次元高周波電磁場解析コードHFSSやMW-Studioを用いて設計・製作し、1/4スケールのモデル共振空洞(H21年度製作)に連結した。3次元高周波電磁場解析及びモデル共振空洞でのローレベル信号特性試験の結果から、加速電極面に平行な励振モードが加速ギャップでの半径方向の加速電圧分布に影響を与え、加速粒子のエネルギー利得分布の調整自由度を高めるためには、加速電極の分割、或いはハーモニック電圧用共振空洞の結合位置を基本波加速電圧用共振空洞と同一にするなどの工夫が必要であることを明らかにした。本研究により、GeV級超電導AVFサイクロトロンのコンパクト化と世界最高のM/Q分解能の実現に必要とされる基本波・3倍波・5倍波同時励振共振空洞システムの開発の見通しが立ち、学術的な意義は極めて大きい。
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Research Products
(1 results)