2009 Fiscal Year Annual Research Report
胎内環境のバイオマーカーとしての乳歯エナメル質含有元素の分析
Project/Area Number |
21610002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪狩 和子 Tohoku University, 病院, 講師 (90125493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 温 東北大学, 病院, 助教 (50333828)
安藤 瞳 東北大学, 病院, 医員 (60547272)
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Keywords | 胎内環境 / 乳歯 / 元素分析 / マイクロPIXE法 / 新産線 |
Research Abstract |
当該乳歯が形成される時期の母体側の生活環境因子と出生時以降の児の健康状態関連因子についての質問項目と回答方法を決定し、質問紙調査用紙を作成した。永久歯との交換期にある乳歯を保有する外来患者に対し、脱落あるいは抜去乳歯の提供を依頼して乳歯の収集を図るとともに、保護者に対する質問紙調査を実施し、着実に試料数の確保が進んでいる。 エナメル質内新産線前後における元素分析に適した分析方法と諸条件の検討を行った。文献的検討および予備実験により、微小範囲における微量元素の検出にすぐれ、マッピングも可能なマイクロPIXE法が、本研究の目的に合致することを見出した。本法の応用にあたって、工学研究科量子工学専攻石井研究室から専門的知識の提供を受け、分析における全面的協力を得た。目的とする新産線を含む微小範囲を効率よくスキャンするための試料の作成法を工夫し、さらに、スキャン範囲の元素マッピング画像と新産線の位置を明示する光学顕微鏡像との重ね合わせにより、新産線の位置をマッピング画像上で把握することを可能にした。予備実験に用いた乳歯の分析結果ではエナメル質の主成分であるCa,Pの他に、Na,Mg,Al,Cl,Fe,Cu,Zn,Srなどの元素が検出された。ClとZnはエナメル質の表層で高濃度を示し、特異的な分布がみられた。予備実験に用いた健康な小児の乳歯では、新産線前後での明らかな変化が見られなかったが、出生前後の健康状態に大きな変化があった小児の乳歯では、その変化を捉える事が出来る方法であると示唆された。本年度は、元素分析に関わる方法および条件をほぼ確立することができた。この成果は、第26回PIXEシンポジウムで発表した。
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Research Products
(1 results)