2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎内環境のバイオマーカーとしての乳歯エナメル質含有元素の分析
Project/Area Number |
21610002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪狩 和子 東北大学, 病院, 講師 (90125493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 温 東北大学, 病院, 助教 (50333828)
安藤 瞳 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (60547272)
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Keywords | 胎内環境 / 元素分析 / 乳歯エナメル質 / マイクロPIXE法 / 新産線 |
Research Abstract |
本研究で元素分析のために用いてきたマイクロビームシステムが、平成23年3月11日発生の東日本大震災により大きく損壊し使用不能となったため、乳歯試料の元素分析の症例数を増やすことができなかった。本年度は、マイクロビームシステム稼働再開時に直ちに分析に供することができるよう乳歯試料の収集と分析のための試料作成を継続した。 また、昨年度までに分析を終えた試料のデータ解析を進め、エナメル質内新産線の前後での微量元素濃度の算出、象牙質内微量元素濃度の算出を行い比較検討した。その結果、エナメル質と象牙質で比較すると、(1)検出された微量元素の種類は一致した、(2)各微量元素の濃度はほぼ同程度であったが、Mgはエナメル質より象牙質で濃度が高かった、(3)Feの濃度は、エナメル質、象牙質とも試料間でばらつきがみられた。分析試料数が少ないため、健康背景の特徴と元素分析結果の関連について統計学的検討を行うには至らなかったが、個別の症例の検討においては、胎児期・新隼児期の児の健康栄養状態と元素分布状態の特徴の関連が窺われた。これらの結果より、脱落乳歯を用いて胎児期および新生児期形成のエナメル質を特定して元素分析を行う本方法によって、胎児期および新生児期の健康や栄養状態など児の環境を現在の健康状態と関連させて回顧的に評価するための乳歯の有用性が示唆された。
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