2011 Fiscal Year Annual Research Report
保育所をコミュニティ資源として親子の抱える課題に応える体験型支援実践の形成
Project/Area Number |
21610004
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
當眞 千賀子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60311148)
|
Keywords | 子育て支援 / コミュニティ / 発達 / 異年齢 / 形成的フィールドワーク / 文化 / 保育 / 保育士 |
Research Abstract |
保育所はその物理的・人的・社会文化的環境としての特徴から,入所児童だけでなく地域の家庭の乳幼児とその親の育ちを支える実践を展開する上でも活用可能な優れたコミュニティ資源である可能性が高い。しかし,そのポテンシャルが十分に活かされているとはいえない現状にある。そこで本研究では,研究者が現場の人とは異なる役割を担いながら,現場の人々とともに実践を形成していく過程の中に研究を織り込む「形成的フィールドワーク」(當眞,2004)の方法により,「子育て支援活動」を行っている保育所を主なフィールドとして次の問いに応える研究を展開した。(1)子どもと親はどのような課題を抱えているか,(2)親としての力量を育て,親子が互いに育み合えるような関係を築くにはどのような支援実践が必要か,(3)親子が必要としている体験を準備する上で,保育所の物理的・人的環境をどのように活用できるか,(4)支援実践形成の過程で子ども,親,支援スタッフはどのような学びを体験するか。 本年度は初年度から成果を上げてきた実践形成的研究活動を継承し次のような取り組みを行った。(A)子育て支援現場における子育て相談を継続的に実施し,個々の親が抱える問題を多角的に把握する活動を展開した。(B)親としての力量を育て,親子が互いに育み合えるような関係を築くことを支える体験型の支援実践を行った。体験型の相談を継続的に行い,その様子をビデオ収録または筆記して事例を縦断的に蓄積し,親子の抱える課題に応じたワークショップ型(体験型)の子育て支援実践モデルを開発した。(C)支援センター担当保育士の学びの記録を蓄積し,支援モデルの構築に活用した。(D)保育所における異年齢保育実践に関する記録を蓄積し,子育て支援実践の有効な資源として活用した。3年間の取り組みを通して子育てに自信と喜びを感じられるようになった母親が第二子を出産するケースが相次ぐなど大きな成果が得られた。
|